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サウジアラビアとロシアの原油協調減産に向けてトランプ大統領の手打ちはどうなる

OPECプラスの協調減産をロシアが蹴って以来、下落が続く原油相場。金相場にとっても他人事でありません。ロシアは、金市場の主要プレイヤーですし、プラチナ&パラジウムの一大生産国。

サウジアラビアの仕掛けた原油の価格競争がどうなるかは、世界経済の大きな注目。サウジアラビアとロシアの喧嘩を止められるのは、アメリカのトランプ大統領だけだろうと目されていましたが、ようやく、手打ちに目処がついてきたようです。

サウジアラビアとロシアの原油問題について、トランプ大統領が仲裁

トランプ大統領は、2020年4月2日にツィッターで、サウジアラビアの皇太子とロシアのプーチン大統領について話をした。私は、彼らが、約1,000万バレルの原油を削減することを期待しているとツィート。

●金や原油のスポット価格:GMOクリック証券のCFD 日足チャート 2020年4月3日

原油価格

原油は、20ドル割れから24ドル前後に回復、金価格は、1,600ドル台をキープ。株式市場は、二番底があるかどうかを警戒。

逆にこんな話もあります。ロシアメディアのアナリスト。ジュリア・デービス氏のツィート。

プーチン大統領は、トランプ氏は嘘つきだと言う。クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、ロシアのプーチン大統領とサウジアラビアのモハメド・ビン・サルマン皇太子との電話会談はなかったとトランプ大統領の主張に反論。

シェールオイルの採算ラインは、25~50ドル程度と、30ドル以下の価格では厳しいとの見方。藤和彦氏(経済産業研究所)

米エネルギー省は1月下旬に2050年までの長期予測を公表したが、その内容は「米国の原油生産量を2027年まで拡大し、2040年まで日量1400万バレル以上の生産量を維持する」というものである。米国の原油生産の7割を占めるシェールオイルの採算ラインは既存の油田で1バレル=25~40ドル程度、新規開発の油田で50ドル以下であり、技術的に採掘が可能な米国のシェールオイルの埋蔵量は782億バレルと世界一であることがその根拠である。シェール企業の増産

ただし、OPECプラスの協調減産で、原油価格が、1バレル50ドル以上をキープしていれば、米国のシェールオイル産業は、シェアを伸ばしていくことになるでしょう。

原油の場合、ただ、買うだけでは使えません。原油の質にあわせたパイプライン・精製施設の整備が必要になります。逆に言えば、一旦、シェアを奪われれば、奪い返すのは、非常に難しい。もしも、欧州各国が、米国のシェールオイルを購入することになれば、ロシアは、上得意の顧客を失うことになり、張り巡らせたパイプライン網が無駄になります。

その意味で、ロシアの苛立ちも理解できますね。しかし、安い原油が続けば、産油国の採算ライン割れの問題。そして、上場したばかりのサウジアラムコ株の下落というリスクが存在します。サウジアラムコ株の大幅下落は、サウジアラビアの富豪達の怒りを買うことになり、ムハンマド皇太子の権力基盤すら危うくなるでしょう。

サウジアラビア国内では、開明的な政策を推進しているムハンマド皇太子に対して、保守的な考えを有する王族からの反発が根強い。新型コロナウイルスの蔓延で自らへの不満がさらに高まることを恐れたムハンマド皇太子が、有力王子らを拘束することで未然に反乱の芽を摘んだのではないだろうか。ムハンマド皇太子は従来からOPECと協調する現在の路線を快く思っておらず(3月9日付日本経済新聞)、今回の政変を機に、原油政策についても自らの主張であった「世界市場でのシェア拡大路線」に舵を切ったと考えられる。OPECプラスに何が起きたのか

ここは、サウジ&ロシアも、米国のトランプ大統領の仲裁を受け入れて、シェールオイル側に何らかの規制をかけさせるかなどの条件を付けさせるのが得策だと思います。

今回の報道で、原油価格は大幅上昇しています。しかし、協調減産までのハードルはまだまだ高い。臨時会合の内容次第で、乱高下することでしょう。

今後の焦点は、1)いつどのような形で緊急会合を開催できるのか、2)協調減産で合意できるのか、3)合意できるとすればどのような内容になるのか、4)その合意で新型コロナウイルスによる需要ショックをどこまで相殺できるのかなど、多岐にわたる。現時点でのファクト(事実)としては、トランプ大統領の仲介でOPECプラスの臨時会合開催の可能性が高まっていることだけであり、その先は全く見通すことができていない。原油価格戦争について

今回の原油価格安と新型コロナウイルスショックで、いくつかの国は、政治的に不安定になるリスクがあります。経済的に苦しい人が追い詰められています。アラブの春のきっかけが食糧危機だったように、どこの国で、新たな春が起きるかわかりません。

原油及び金価格は、そういった政情不安で、動くことになります。

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