タイガー・アジア・マネジメントで名を馳せたビル・ファン氏のアルケゴスキャピタル破綻が話題です。
アルケゴスは、バイアコム・ディスカバリー・百度などの株式をレバレッジをかけて取引しており、株価下落に伴うマージン・コールで破綻しました。
第二のLTCMか。アルケゴス・キャピタルの破綻事件
今のところは、株式市場も落ち着いており、金相場も上がっていません。リーマン・ショックよりも規模の小さいLTCMショックと言うところかと思います。しかし、こういったファミリーオフィスでの金融取引が、過剰な取引&株価上昇を生み出しており、そのバブルが弾けた場合のリスクは、想定しておいた方が良いと思います。
前から、過剰流動性の問題は、本金投資サイトを通じて、お伝えしていました。バブルはいつ弾けるか分かりません。弾けてようやくバブルと認識されるものです。
バブル崩壊を予想して、空売り側に回って、上手に利益を得られるのは、本当に稀な例です。それを狙うよりもポートフォリォの見直しを行い、金投資を行う方が良い選択になるでしょう。
ビル・ファン氏のファミリーオフィス
ビル・ファン氏のアルケゴス・キャピタルの破綻は、2021年3月24日に始まった。
フアンは、2013年にファミリーオフィスのアルケゴスを設立し[1] 、2020年時点で100億ドルの運用資産を保有していた[4]。
2021年3月24日にバイアコムCBSが30億ドル規模の増資を発表したのを受け、同社の株価は10%下落し、実質筆頭株主であったアルケゴスは巨額の追証の差入を迫られた[8]が、必要額を差し入れることができず債務不履行に陥り、プライム・ブローカレッジ業務[注釈 2]を担ったグローバル投資銀行各行がアルケゴスの資産の処分に動き、アルケゴス保有資産の投げ売りに至った[9]。特に木曜日にゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレー、野村ホールディングス、クレディ・スイス、UBSなどアルケゴスと取引していた投資銀行で話し合いがもたれ、大規模な売却は控え、週末に話し合いを続けようという提案がなされたものの合意に至らなかった。アルケゴス・キャピタル
手数料が欲しい金融機関から、資金調達して取引を行う。これを野村・クレディ・スイス・モルガンなど多くの金融機関と行っていた。巨額の含み益があったはずのアルケゴスは、こうして破綻することになりました。
アルケゴスが投資資金を膨らませることを可能にした契約がトータルリターンスワップです。これは、金融機関に比較的高い手数料を払う代わりに、その金融機関から資金を調達し、その資金で投資を行うものです。通常のレバレッジ取引と異なり、株式の保有名義はアルケゴスではなく金融機関となりますが、投資による利益も損失もアルケゴスに移転されます。まさに、トータルリターンスワップの名の通り、全体の利益を交換する契約なのです。アルケゴス問題とは
ゴールドや石油・個別株をレバッジをかけて取引できるCFD。金融機関側は、売買の度に手数料が落ちる良いビジネス。
使われた金融商品は専門用語でスワップ、日本ではCFDという名前で個人投資家に人気がある。証拠金を積めばレバレッジかけて売買ができて、結果としての売買差額だけが決済対象となる。今回のケースではレバレッジが8倍程度とされる。プロの立場では「匿名性」も魅力だ。名前を表に出さず大型売買を実行できるからだ。この点を逆に利用され、大手投資銀行が個々の売買額を膨らませ、総額が3兆円とも言われるほどの規模になっていたようだ。韓国系米国人カリスマ「神対応」の衝撃、日欧2社が逃げ遅れ
米国の信用取引債務は、上昇中。株も土地も買えば上がるのですから、買わねば損とばかりに株式トレードブームが起きています。バイアコムが下落してアルケゴスが倒れたように、逆回転すれば悲惨なことに。
米投資家の信用取引債務はここ1年間で記録的なレベルに到達(赤線)。コロナショックの時には2016年以来の低水準でした。昨年の下げがわりと早く止まって上昇に転じたのはそのためです。この債務レベルで下げが来たら下落幅は昨年を超える。FRBが必死にバブル維持しようとしているのも無理がありません。 pic.twitter.com/XPonFHlxJD
— Emin Yurumazu (エミンユルマズ) (@yurumazu) March 19, 2021
野村HDとアルケゴス・キャピタルに起きたこと。
オッケー。みんなよく聞いてくれ。野村HDの損失について説明する。
— じっちゃま (@hirosetakao) March 29, 2021
アルケゴス破綻は、バブル崩壊の前兆?
アルケゴスの破綻は前兆なのか。もしも、規制当局が、同様のビジネスに対して、厳しい規制の実行を迫れば、ポジション解消が大量に出てくる可能性があります。見逃した場合、将来にリスクを先送りすることになるため、判断が難しいところ。
- CFDは、現物株を保有しないことから、規制がゆるく、取引額に応じて用意しなければいけない資本が少ない。
- ヘッジファンドやファミリーオフィスによる巨大なレバレッジポジションの扱い
- 破綻の引き金になったバイアコムのエクイティファイナンスの主幹事には、モルガン・ゴールドマンなどの金融機関がなを連ねている。そのため、アルケゴスのポジションを知っていたことからの利益相反の可能性
- アルケゴスのビル・ファン氏の同意を得て、ヘッジファンドにディスカウント価格で株式を売却。情報を知らせずに、売ったのではという疑惑
リーマンショックとは別の形態の新金融リスクがウイルスとともに世界に拡散しているからです。レディットもアルケゴスもその兆しと見ています。後世の歴史教科書にはレディットやアルケゴスという前兆の後に、経済ショックの本震が来たと詳述されるかもしれません。コロナ変異種のリスクには目をつぶって史上最高値を更新する米国株などもその兆しでしょう。株価は経済の実体とあまりにかけ離れています。金価格も下がったとは言え歴史的高値圏に留まっていることも示唆的です。1700ドル台なんて2~3年前だったら夢みたいな価格帯でしたが、今や「底値圏」ですものね(私は5年前から予告してましたが殆ど信じている人はいませんでした)。過剰流動性の危機
アルケゴス問題の本質は、大手投資銀行がレバレッジの高いヘッジファンドにレバ解消(⇨ポジション解消フローが出る)を迫る可能性があるという点。当事者間の契約もある話なので直ぐには起きないと思いますが、規制当局からのプレッシャーは避けられないでしょう。
— Big Daddy (@BigggDadyy) April 7, 2021
モルガンスタンレーはアルケゴスが飛ぶ一日前に50億ドル分の株を小さいヘッジファンド数社に売りつけたようです。ディスカウントだと思って買ったヘッジファンドは見事にやられたのですね。https://t.co/aK0fVlix6M
— Emin Yurumazu (エミンユルマズ) (@yurumazu) April 7, 2021
ファンダメンタル関係ない、テクニカル関係ない、地政学リスク関係ない、バリュエーション関係ない。重要なのはお金の印刷機が24時間動いているかどうかだけ。印刷機の音が止まったら速攻で逃げて下さい。 pic.twitter.com/K69gL7nuC8
— Emin Yurumazu (エミンユルマズ) (@yurumazu) April 7, 2021
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