大手投資銀行による貴金属取引の価格不正操作事件

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為替及び貴金属において、大手投資銀行のディーラーが、価格を不正操作していた事件が何件も発覚しています。

2015年2月のニュースでは、米司法省と商品先物取引委員会(CFTC)が、貴金属取引における価格の不正操作の疑いで大手銀行を捜査していることがウォール・ストリート・ジャーナルで報じられた。

捜査の対象はHSBC、バークレイズ、JPモルガン・チェース、ドイツ銀行、バンク・オブ・ノバスコシア、クレディ・スイス、ゴールドマン・サックス、ソシエテ・ジェネラル、スタンダード銀行、UBSと大手金融機関が勢揃い。

バークレイズの看板


金価格の不正操作

金価格の不正操作には、二つの動機があります。

1.陰謀論シナリオ:金価格の値動きを世界の有力者が集い、自分達の都合の良いように決めている。

2.現場ディーラー達の操作:貴金属ディーラー達が自分たちの売買で利益をあげられるように操作。

主に、価格の不正操作は、2の現場ディーラーの悪事です。陰謀論シナリオは実際にあったとしても簡単に発覚するものではありません。

その点、為替取引でもあったように、現場ディーラー達の悪事は時々、生じます。為替でも金・銀・白金でも同じですが、ディーラーは特殊な職業。

ディーラーの特殊な環境が不正を生む土壌

金融機関の中でもディーラーという職業は、融資や審査を行う部署とは全くの別物です。一度、ディーラーになってしまうと他の部署に異動する可能性が低くなります。

つまり、銀行の中でも特殊な専門職。そして、銀行内との付き合いは、ディーラー部署内にとどまり、融資や審査・支店との関係は強くありません。

それよりも、他行で同じ職を務めるディーラーとの関係が強まります。各銀行のディーラーは、ロイターやブルームバーグが用意している専用端末のチャット、そしてメールや電話で頻繁に取引・情報交換・雑談を交わしています。彼らにとって仲間とは同じ銀行内の行員よりも他行のディーラー達。

となると、仲間同士で損得の調整をしたり、ちょっとした価格操作をすることで、お互いに利益を得たりする誘惑にも駆られます。

大相撲で星のやりとり=八百長事件が話題になった時もありましたよね。千秋楽で7勝7敗の力士が勝つ確率は非常に高いというのも八百長といえなくもありません。

デイーラー達もそんな感覚です。特に欧米の投資銀行のディーラーは頻繁に転職します。ならば、自行への忠誠心は薄まり、ディーラー間での評価や実績を重視するというのもうなずける話。

不正操作事件も要因として、ロンドン金価格は電話での値決めから電子入札にようやく変更。

2014年5月にも、バークレイズのトレーダーが、金価格不正操作で告発。英金融行為監督機構(FCA)から制裁金を課され、追放処分。

英金融大手バークレイズの1人のトレーダーが金価格不正操作を告発され、英金融行為監督機構(FCA)から制裁金を課され、追放処分を受けた。FCAが23日発表した。バークレイズも、監督責任を問われ、2600万ポンド(約45億円)の制裁金支払いを命じられた。今回の事件の舞台はロンドン金市場の値決めの場である。2012年6月28日の同値決めにおいて、顧客に不利な価格誘導をし、不審に思った顧客から説明を求められたが虚偽の証言をした、と告発されたのだ。バークレイズ「金価格操作」の真相

ディーラー出身者の言葉だと、ちょっとした価格操作は昔から行われており、それが醍醐味でもあったということ。しかし、ロンドン金価格・LIBOR(金利)・為替レートは、様々な金融商品に指標として組み込まれています。大元の価格が信頼できない=金融商品や金融機関全体の信用がなくなりますので公明正大に値決めを行って欲しいもの。

陰謀論的不正操作

こちらの話になると壮大すぎて、FRBやゴールドマン・サックス、歴代政権などが出てくることに。

経済評論家の田中宇氏の話などが参考になると思います。ドルの信用を守るために金相場の下落を狙ったという話。

米ドルの信用維持

金相場の不正操作について最近、詳しい手口を暴露する記事を書いたのは、元国務次官補のポール・クレイグ・ロバーツだ。彼によると、金相場の不正は主に米国の連銀(FRB)が行っている。連銀は、08年のリーマン危機後に何とか立て直した債券金融システムやドルの再崩壊を防ぐため、ドルが信用失墜するほど買われる傾向がある金地金の相場を意図的に下落させ、ドルや債券に代わる資産の備蓄先になりそうな金地金に対する世界的な信頼が失われたままにしておくことで、ドルと債券金融システムを守る戦略を採ってきた。  金地金不正操作めぐるドイツの復讐

米ドルの信用が回復してきた今となっては、米ドルに代わる通貨の創造が話題に出ることは減りました。しかし、IMFのラガルド専務理事によるドルの代わりに世界通貨!

クリスティーヌ・ラガルドは、ダボス2014後、ブルームバーグのインタビューに応じて、明確にこう述べたのです。「世界中で経済を成長させるために必要なことは、リセットである」。(ブルーバーグのインタビュー 下)要するに、最終的に「すべてをリセットして、ドルの代わりに世界通貨を流通させる」と言っているのです。金価格が上昇しないように不正操作されている理由

など、国家にとって通貨をどうするかというのは根本的課題です。ビットコインブームも下火。一方では、金融緩和による巨大な信用創造の結果がどうなるかは誰にも分かりません。

金価格と通貨を巡る陰謀論は、興味深い話です。もちろん100%鵜呑みにして相場を売買すると、痛い目に合うことの方が多くなります。しかし、真実はどこにあるのか見極めるためにも関心を持っておきましょう。