2018年12月18-19日に開催された米国のFOMCは、大方の予想どおりに利上げを決定。2018年は、4回目の利上げとなります。政策金利は、2.25-2.50%。しかし、この結果とパウエルFRB議長の発言で株価は、下落。
2018年12月のFOMCで株価は、リーマン・ショッククラスの下げ
FRBは、もっと市場に配慮してくれると甘く見ていた投資家は、大慌てで株売りを実施。その影響で、金価格は上昇している流れ。
◆米国NYダウの週足チャート 2018年12月25日 GMOクリック証券
10月頭をピークに、もみ合いから下落に転じていたNYダウ。FRBのパウエル議長は、株価下落を止めるパウエル・プットを発動せず。
2018年12月のFOMC結果
- 2019年の利上げ回数は、9月FOMCの3回から2回に減少。
- 政策金利は、2.25~2.50%:0.25%引き上げ
しかし、不安定さを強める世界経済にとって、パウエルFRB議長の姿勢は、物足りずに、その後も、株価の下落は継続。
パウエル議長は、記者会見で、2019年経済の見通しについて、減速&リスクを予想。一方で、政治の圧力には、屈しないとも語っており、トランプ大統領からの利上げ停止圧力に対抗姿勢を取る様子。
そして、現時点で、金融政策は引き締めではない。FRBのバランスシート縮小は問題ではないと宣言。
株価下落に対して、FRBが何らかの行動を起こすことを期待した市場の予想は、裏切られました。
どうやら、またもFRBの行動は、実体経済を重視して、金融市場の動きを無視することになりそうです。
FRBの利上げ決定に対して、反応したのがトランプ大統領とムニューシン財務長官。パウエル議長の解任を考えているとの噂が飛び交い、市場がショックを受けたところに、ムニューシン財務長官が、6つの大手金融機関に流動性を確保できているか確認する電話を入れたとの記事が流れて、市場にリーマンショックを思い起こさせる悪手。
ムニューシン財務長官は、市場が安定しており、流動性の問題もないと話しているも、市場の受け取り方は逆。何かあるんじゃないのかと疑心暗鬼を呼び。ボヤに油を注ぐ事態になってしまいました。そして、ムニューシン財務長官解任の噂も。
株価を重視するトランプ大統領。せっかく、減税や財政出動で、株価を上げたのに、FRBが邪魔をすると考えているのではないでしょうか。今後、パウエル議長及びFRBの官僚組織とトランプ大統領の対決、激しくなると予想。
●NYダウの月足チャート:数値的には、リーマン・ショック以上の下落幅。
トランプ米大統領の意思で、中央銀行の独立性を損なうことに対する警戒感。政権から誰もいなくなる警戒感が醸成されています。今回の下落相場で、損失を出した金融機関・会社はどうなるのでしょうか?
下げ相場で怖いのは、下げ自体よりも、ポジションの巻き戻しや、レバレッジポジションで膨らんだ含み損。
流動性相場が終わることで、これまで過大なポジションを取っていた金融機関や企業が炙り出されることになります。それこそが、リーマン・ショックの再来となる要因。
- リーマン・ショック時以上に膨らんだ債務
- 中央銀行が抱える負債
- レバレッジのポジション
を考えると、かなり危うい状況にあるといえるでしょう。
株価下落の本当の原因は、FRBの利上げというよりも、ここまで上昇を続けた株価・不動産価格のせいなんですけどね。そういう点では、バーナンキ・イエレンと続いた市場に優しい金融政策・量的緩和政策こそが、真犯人といえるでしょう。
この下落自体は、当サイトをはじめ、投資家たちは警告を発していました。
●NY金スポット:月足チャート
株価暴落の中で、1160ドルから1269ドルと約100ドルの上昇。2018年秋から初頭の勝ち組は、金投資でした。
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