貴金属市場の専門家「Peter Krauth」は、最近、下落が続いている金市場に強気の見通しを持っています。なぜなら、金価格の上昇を後押しする4つの力があるから。今回は、この4つについて確認しておきましょう。
ただし、金ETFからの流出は、まだ続いているため、まだ、調整中と見るべきでしょう。
金相場を後押しする4つの力
さて、Peter Krauth氏の考える4つの力について見ておきましょう。
まず、ワクチンの生産・配布・投与には、時間がかかるため、すぐには、元に戻らないという見方。
1.パンデミックによる経済の破壊
パンデミックの被害は、まだ終わらず。お金の増刷が終わった後、課題は山積み。航空会社・観光業・レストランなどは、多額の借金を行い、破産した会社も多い。
さて、株価こそ上昇しているものの、実体経済は、苦戦中。JALやANAなど日本の航空会社以上に、欧米はじめ海外の航空会社は苦戦しています。たとえ、ワクチンが開発されても、飛行機による大量の人を高速移動させることのパンデミックリスクが表に出た以上、すぐに、移動・観光産業が元に戻るとは思えません。そういった業界への支援や債務超過企業の続出は、中長期的な金価格のサポート材料になるでしょう。
2.米ドル安について
米ドルは引き続き下落しています。3月に103でピークに達した後、米ドル指数は着実に下落しています。92で、インデックスは2年半以上前に最後に見られたレベルに戻ります。巨額の金の印刷、およびバイデンからのより多くの見通しがドルに圧力をかけ続け、その過程で金を支援するのに役立つ可能性があることは疑いの余地がありません。
米ドル安は引き続き継続中。現在、米ドル安=金価格高にはなっていません。ただし、将来は、米ドル安=金買いに動くでしょう。特に、バイデン政権が、財政支援などを拡大していけば、金価格の上昇につながると思います。
マイナスの実質金利
マイナスの実質金利がここにあり、それらは将来にわたって十分に残る可能性があります。このチャートはほとんどすべてを物語っています。金の価格(赤い線)は明らかに実質金利(青い線)と負の相関関係にあります。そして、FRBが2023年まで(少なくとも)ゼロ金利を約束し、インフレがメガスティミュラスプログラムから上昇する可能性があることから、このチャートが示すのと同じ傾向がさらに見込まれます。
実質金利が下がれば、金価格は上昇するのがセオリー。少し10年債金利が上昇している分、金価格も下がっています。
ハト派のイエレン氏登場
ハト派のイエレンが帰ってきた。ジョー・バイデンが財務長官に選んだのは、元FRB議長のジャネット・イエレンです。彼女の在職期間は2014年2月から2018年2月までで、バイデンは副大統領でした。その間、FRBのバランスシートは5000億ドル以上増加しました。今日、それは大きな変化のように聞こえます。しかし、ほんの数年前でさえ、それはまだ大きなお金でした。重要なのは、イエレンが財務を担当し、彼女の元副官であるジェローム・パウエルがFRBを運営するということです。すべての意図と目的のために、財務省と連邦政府の間の境界線は曖昧になり始めます。
ハト派として、金融市場の評価が高いジャネット・イエレン氏。彼女がFRB議長だった時代、FRBのバランスシートは大きく増加。
しかし、イエレン氏は、FRBの出口戦略を指揮して、大きな混乱をさせずに、金利上昇に成功した人物。単純に債務を増加させて、借金を増やす方向に行くとは限らない気もいたします。
金が200日移動平均で$ 1,800を下回ったので、次は$ 1,750、おそらく$ 1,700に達する可能性があります。RSIとMACDの両方のモメンタム指標は低下傾向にあり、この動きを確認しています。
●金価格の日足チャート GMOクリック証券のCFD 2020年12月10日
移動平均線の200日は、ちょうど、金価格のサポートとして機能。
今回も11/30前後に、200日移動平均線に接して反発。ただし、高値及び安値が切り下がっているため、上昇トレンドに切り替わっているとは言えません。
金ETFは、まだマイナスが続いています。ビットコインなどに比べて、ちょっと、金相場は、一休みという感じです。
WGC=11月の金ETF残高は-107.1トン。今年初めマイナスに。
大統領選とワクチンの不確実性後退を受けての、リバランス。ここが変わらないと、金価格は本格的には上がらない。ファンダメンタルズは強気ですが。 pic.twitter.com/jA70ozuzc9
— 小菅 努 (@kosuge_tsutomu) December 9, 2020
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