金価格が、金利と影響があるのは、有名ですよね。中でも、実質金利との相関性の高さは格別です。2020年、新型コロナウイルスの影響で、米国株は、5.5%のマイナス。それに対して、金価格は、17%の上昇。
Chancery Asset Managementのトーマス・プベンダル氏は、1999-2000年以来、最大の強気相場になるだろうと予測。
実質金利と金価格の高い相関性:逆相関
金地金ディーラーのスイス・ゴールドは、過去数年間の金価格について、実質利回りの上下動が影響したと指摘。下記記事内で、インフレ連動債(実質金利)と金価格の相関関係を示したチャートも掲載されていますので、詳しく知りたい方は、御覧ください。ただし、英語になります。
実質金利が下がれば金は上昇し、実質金利が上がれば金は下がる。この相関関係は、インフレが金の最良の友であり、金利上昇が金の最悪の敵である理由を説明しています。金価格が上昇する理由
この実質金利と金の逆相関関係は、2008年以降にはっきりしていると日経新聞の後藤達也氏も下記グラフを用いて説明してくれています。
◆きれいなグラフ
昨年夏も市場で話題になりましたが「米実質金利」と「金」の逆相関は08年以降、かなりはっきりとしています。先週来、再び脚光を浴びており、要点を簡単にまとめました。株やビットコインの投資家も米金利の動向にアンテナを伸ばしておいたほうがいいと思います。 https://t.co/OwLRvOm1y6 pic.twitter.com/JCZkP4P3Cg— 後藤達也(日本経済新聞) (@goto_nikkei) January 11, 2021
単純な金利を見るよりも、実質金利の方が、金相場には大切。金利が高くても、物価上昇率次第で相殺されますから、より見なければいけないのは、実質金利。
実質金利とは金利を物価上昇率との関係から見たもので、見かけの金利(名目金利)から物価変動の影響(予想物価上昇率)を差し引いた金利を指します。一国の実質金利を見る場合、主に政策金利から消費者物価の前年比上昇率を差し引いて算出されることが多いです。SMBC日興証券
James Picerno氏によると、以前よりも、この相関関係が強まっているとのこと。コロナウイルス危機をきっかけに、金利とインフレ率が低下。FRBは、低金利政策を長期間続けると明らかにしています。
5年物のインフレ連動債(TIPS)は、2020年に入り、マイナス状態が当たり前になりました。3月18日に、一時的に、0.63%まで上昇したものの、低下に転じると、6月29日には、-0.87%と2013年以来の低レベルへと落ち込んでいます。
FRED:インフレ連動債のチャート 2020年7月2日
今後の金価格を予想する上で、このインフレ連動債のチャートは役に立つと思います。更新頻度も高いため、実質金利上昇へとトレンドが変わったときには、保有している金先物ポジションをクローズすることを考えていいでしょう。
物価連動債は「実質価格」で取引されます。実質価格はインフレの上昇がないという想定下での債券価格と考えられ、売買の決済時には、実質価格にインデックス・レシオを乗じ、インフレ上昇分を加算して決済されます。 また、物価連動債の利回りは、インフレ上昇分加算前の実質価格をベースとして、物価連動債を償還時まで保有した場合の利回り、すなわち「実質利回り」となります。物価連動債とは
2010年10月25日に、物価連動債は、ゼロ以下になりました。
米財務省は25日、5年物の物価連動国債の入札を実施した。最高落札価格で計算した利回りがマイナス0.550%と、物価連動債として初めてゼロ%を下回った。日経新聞
表面的な金利は、ゼロ以上であっても、物価上昇率を加味すれば、マイナス状態。これなら、金や株・不動産を買った方がいいですよね。株式ブーム・金投資ブームが起きるわけです。
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