米国は、ロシアゲート疑惑に、トランプ大統領の長男が登場し、全面的な対決ムード。
NY金は、反発を見せた週。先週末の雇用統計が好調だったことから、7/10に1204.0ドルまで下落。その後は、イエレンFRB議長の議会証言で、政策金利を高くしない=ハト派発言が出たことなどから、高金利で不利になる金相場にも買いが入りました。
NY金価格は節目の1200ドルが引き続き、重要ポイント。
●各市場の日足チャート:GMOクリック証券のCFD 2017年7月14日
株価は全体的に高い。原油・ブラジル株価など全般的に上昇。
米国の情勢:ロシアゲート疑惑とは
<スポンサーリンク>
トランプ大統領の長男が、大統領選挙でのロシアによる介入に絡んでいたのではないかという疑惑が拡大。ロシアゲート問題はまだ続きます。
そもそもロシアゲートとはどのような疑惑なのでしょうか?
トランプ大統領のロシアゲート事件
ロシアゲートとは、トランプ大統領を当選させるために、ロシアが米国大統領選挙に介入したのではないかという疑惑。
当初は、泡沫候補として、大統領どころか共和党候補の中でも、下位だったドナルド・トランプ氏を応援したのがロシア。その理由は、ロシアにとって都合の良い米国大統領を仕立て上げるため。
SNSによる宣伝や誹謗中傷が多様化されたことも特徴の一つ。内容は、下記の3つに分かれます。
- 米大統領選挙で、トランプ大統領を当選させるための介入
- ロシア単体ではなく、ドナルド・トランプ陣営との共謀疑惑
- ロシアゲート疑惑の捜査に対するトランプ陣営の妨害工作
スティール報告書の真偽
かつて、英国情報機関(MI6)に勤務していた元スパイのクリストファー・スティール氏は、反トランプの調査会社フュージョンGPSの要請で、トランプ氏とロシアの関係を調査。その内容が衝撃的だったことから、ロシアゲート疑惑は始まりました。
- 過去5年間に渡り、ロシアはトランプ氏を支援してきた
- 目的は、西側を分裂させること
- トランプ氏と側近は、クレムリンとの情報交換を続けることを承諾
- 2013年に、トランプ氏が、ミス・ユニバースのイベントでロシアのホテルに訪問。その時の破廉恥な内容の証拠をロシアが保持
ただし、この内容の真偽については、厳しい見方も少なくありません。マケイン上院議員が、この情報を広めたことからもトランプ大統領に反発する軍産複合体&ネオコンとリベラル派による動きともみられています。
スティール報告書の内容は、ゴシップに近く、具体的な証拠がない。その割に、伝聞に基づいた詳細な部分があり、人を陥れるために使われる手法に近い。
スティール報告書の全文:バズフィード 真実はいかに。
私は、スティール報告書について、憶測・噂・ゴシップ主体のように感じます。スティール氏は、かつて、MI6に勤務していたとはいえ、現役のスパイではありません。トランプ氏のミスユニバース事件など、本当であれば、ロシア側が、そう簡単にばらすわけがありません。文書が本当だとすれば、せっかく、5年もかけて育てたのですよ。いざという時まで取っておくはず。かつて、英国の情報機関にいた大物スパイ「キム・フィルビー」をはじめとした二重スパイのように大事に扱わないと損。
もちろん、トランプ大統領が女好きであり、少々、ハメを外すのは、予想できますし、おいたをあちこちでしてきたこと自体はあるでしょう。
ロシア側は、経済制裁解除が目的
ロシア側の短期的な目的は、経済制裁の解除が目的。もし、ロシアゲート疑惑が真実ならば、クリミア半島を巡る問題で、実施されている経済制裁を解除するために、トランプ大統領を誕生させたとみるのが妥当。
トランプ大統領は、根本的に、仮想敵国としてロシアを見ていません。一方、9.11テロで膨れ上がった軍産複合体・米情報機関は、イスラム国が壊滅しつつある今、新たな敵を作り出さなければ、自らの存在意義を問われます。そのため、北朝鮮・イラン・ロシアを仮想敵にしておきたい考えを強く持っています。
他国に介入することをしたがらないトランプ大統領と軍産複合体の闘いは、ずっと続くと予想します。かつてアイゼンハワー大統領が警告した軍産複合体の力は強大です。
ロシアゲート3つの具体的な疑惑
- マイケル・フリン氏のロシア外交官との接触
- ロシアによるヒラリー・クリントン氏に対するサイバー攻撃
- トランプジュニアがロシア人弁護士のナタリア・ベセルニツカヤ氏との面会
ロブ・ゴールドストーン氏を介してナタリア氏と面会。NHKが公開したロブ・ゴールドストーンとトランプジュニアのメール内容。
ロシアの首席検察官がけさ、彼の父アラスと面会し、彼らの面会の中でヒラリーと彼女のロシアとの関わりに罪を着せ、あなたのお父さまにとても有益になるであろう公式の文書と情報をトランプ陣営に提供すると申し出ました。これは明らかに非常に高いレベルであり機密性のある情報ですが、ロシアとその政府がトランプ氏を応援する一環であり、アラスとエミンに手助けされています。
ヒラリー氏に罪を着せるとはただ事ではありません。実際に会ってみたところ、ベセルニツカヤ氏は、養子縁組問題ばかりを話して、ヒラリー氏の情報は無かったとの話。
面会をアレンジしたフィクサーのゴールドストーンという人物は、以前にトランプがモスクワでの「ミス・コンテスト」を開催した際に、そのアレンジを行っており、大統領自身との面識があるという報道が出ています。仮に大統領の「知らなかった」という発言が虚偽であれば大変なことになります。
事態を重く見た連邦議会上院司法委員会は、ドン・ジュニアを公聴会に招致することを決定、早ければ来週にも「公開形式での証人喚問」が行われる見通しとなりました。「ロシアゲート」は一気に深刻な局面を迎えています。ニューズウィーク:トランプ長男とロシア疑惑
民主党&リベラル派メディアがトランプ政権に反撃を行うターンです。その分、一時的に金は買われる局面になっています。ロシアゲート疑惑が落ち着けば、米国の利上げ問題へと市場の関心は戻ると思います。
●NY金価格の日足チャート:EVOCX
1200ドルを底値に反発。ロシアゲート疑惑もあり少々反発してもおかしくない。ただし、FRBのバランスシート正常化が重しになることから、ファンダメンタルズ的に買いにくい局面。
●東京金の日足チャート:EOCX
東京金は、ダラダラと下げている状態。こちらもテクニカル・ファンダメンタル的に短期的な予想として買いにくい。
アメリカ大統領選挙におけるロシアの介入:wiki
今後のロシアゲート疑惑は、2017年5月17日に、米司法省が任命したロバート・ミュラー元連邦捜査局長官の捜査次第。
この記事へのコメントはありません。