先週のNY金相場は、1315~1340ドルの間で動き。英ブレグジットの余波が収まり、米国株式が最高値を更新するなどリスクオンの動きが広がった週。
米FRBに、利上の可能性が浮上。海外情勢はまだ予断を許さないものの、米国内だけを考えると株価・CPIともに利上げ考えられるレベルに達しつつある。
●各市場の終値:2016年7月22日 クリックで拡大
米CPIの前年比は、2016年に入り、1.0%前後で推移。6月も1.0%、食品とエネルギーを除いたコアCPIは、6月に2.3%と2%以上の上昇を継続。利上げはインフレとの関係が強いことから、年内に1度の利上げは視野に入っている。
米FRBの利上げは金価格にネガティブも世界経済は不安定
しかし、利上げは、米ドルにリンクしている各国の金融政策及び新興国からの資金流出・米ドル高という副作用を伴うため、米FRBは、米国のことだけを考えて利上げしにくい環境にある。一方、米国内の情勢として、米大統領選挙では、米国内回帰が強まり、共和党は銀行と証券の垣根を強固にするグラス・スティーガル法の復活やFRBの監視体制強化を考えており、米国内を優先しない姿勢をFRBが見せた場合には非難の声が上がってきそう。
米国以外の国に関しては、ECB・英国・日本などが追加緩和に踏み切る可能性が高くなっており、金相場の下支え要因になっています。日銀黒田総裁はヘリコプターマネーや国債の日銀引き受けなどは否定。
BNPパリバ銀行は、金価格の予想を引き上げ。
- 2016年960ドル⇒1245ドル
- 2017年860ドル⇒1195ドル
金価格自体は、大幅に予想を引き上げ。1,000ドルを割り込む可能性は低く、米ドル高や米利上げを懸念と目新しいことはなし。2016年に比べて2017年を低めに予想している。
バンクオブアメリカは、金価格の強気相場を予想しており、1500ドルを上回る可能性ありとレポート。米大統領選挙を巡る不透明感が材料。
現在の金相場状況をまとめると下記のような形。
- 米FRBの利上げ⇒金価格にネガティブ
- 米ドル高⇒同じくネガティブ
- ECB・英国・日本の追加緩和⇒ポジティブ
- 米大統領選挙でトランプ氏が優勢になった場合⇒政策次第で金相場にポジティブ
- 世界経済の不安定化⇒一時的にポジション処理でネガティブも基本ポジティブ
- 欧州でのテロや政情不安⇒金相場にプラス要因
- EUでの混乱、イタリアの銀行破綻問題⇒プラス要因
トルコの軍事クーデターは未遂に終わり、イスラム色を強める政権運営になる可能性あり。
ドイツミュンヘンでの銃撃事件は、ISとは関係がないとのドイツ警察の報道。フランスニースのテロ事件に続き、欧州で頻発する事件。ISとの関係というより、多文化共生のむずかしさ・格差や貧困などの関係性などについての困難を感じます。
今回のミュンヘンの犯人はミュンヘンで生まれ育ったイラン人David S.で、難民的背景はありません。彼の両親とともに住むマックスフォァシュタットのアパートを家宅捜査した結果、ISとの関連が疑われるような物証は発見されず、代わりに銃乱射事件に関する新聞記事の切り抜きや本『Amok im Kopf – warum Schüler töten (頭の中のアモクーなぜ生徒たちは殺すのか)』などが発見されました。徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ
トルコもEU加盟を目指しており、EUは拡大を続けましたが、これからはEU統合路線よりもEU離脱路線が進んでいくと思います。
●NY金価格の日足チャート:EVOCX
一目の基準線が横向き、転換線が下向きとなり、トレンドラインをキープできるかどうかに注目。中央銀行の金融政策決定会合が行われる週であり、ファンダメンタル的な材料に注意したい。
1400ドルを目指すには、強力な材料が必要ではないか。SPDRゴールドシェアの金保有残高は伸び悩み気味。
下がったところは買われる傾向が強い。
●東京金価格の日足チャート:EVOCX
雲を突き抜けての上昇トレンド。上昇トレンドの中での少し横這い。このまま円安トレンドが続けば、4600円も視野に入る可能性がある。ここは、日銀の金融政策決定会合の影響が大。市場はやや追加緩和ありの予想を強めているため、何もなければ調整で円高が入ってもおかしくありません。
クルークがまとめた今週の重要な経済指標から一部抜粋。FOMCと日銀金融政策決定会合での動きは重要。
27日(水)
英GDP速報値(第2四半期)
FOMC・声明発表
29日(金)
日銀決定会合・黒田日銀総裁、記者会見
日本雇用統計・消費者物価指数(6月)
ユーロ圏GDP速報値(第2四半期)
米GDP速報値(第2四半期)
この記事へのコメントはありません。