インドは、貿易赤字の増大を懸念して、様々な金輸入抑制策を実施していた。そのため、密輸入画像化していたが、規制緩和により違法取引は減少。
ブルームバーグの報道によると、2014年に約80億ドル(約9600億円)規模に上った闇市場ではプレミアム(割増金)が消失しつつある。2015年の金輸入量は50%増加する見通し。
金価格にはプラス材料も、米国の利上げなどと相まって、ドル建ての金価格は1200ドル前後とレンジ相場が続く。
金のリアルタイムチャート:2015年6月19日
インドの貿易赤字は縮小傾向
インドは、金をほとんど生産せず、海外からの輸入に頼っている。貿赤字増大に苦しんだことから、輸入税導入などの規制を導入。貿易赤字縮小を目指した。2014年の秋に起きた原油価格の下落で貿易赤字は縮小。モディ首相は6月28日の予算案発表時に、輸入税を引き下げする可能性がある。
インドの金投資は、利益を得るよりも宗教的側面が強いため、規制で購入を留めるのがむずかしい。
正規の輸入が可能になっため、密輸は減少。全インド宝石・宝飾品貿易協会のディレクター、バチラジ・バマルワ氏は、「合法的なルートでの供給が十分に可能であるため、政府が規制を緩和して以降、違法輸入は鈍化している」
●インドの経常収支はV字回復
インドは2014年11月28日、金輸入業者に課していた輸入量の20%を輸出に振り向ける措置を撤廃。昨年、経常赤字削減を目的として、「80対20の原則」を呼ばれる同措置を導入した。
●インドルピー(INR)の価格とチャート:INR/JPY、INR/USD
モディ首相の金供給計画
インドは、冠婚葬祭字に黄金による装飾品が欠かせない文化。インドと中国の旺盛な金需要で金価格が上下する程。ところが、金輸入が多すぎることが貿易赤字の一因となったことから、モディ政権は金輸入抑制策を打ち出している。
その一つが、金の借りだし政策。装飾品として、寺院や家庭に退蔵してある金を借り出そうと検討。インド政府によると寺院や家庭には約2万トンの金が眠っていると考えている。銀行が借りだして再流通させれば、良いのではないかという政策。銀行はインセンティブとして金を利用する権利に対して利息を支払う。その後、金を戻すか金の価値に相当する現金を支払うことになる。
とはいえ、金の文化的・宗教的価値観に阻まれる可能性も高い。
息子や娘の結婚式・寺院への宗教的寄付として利用された金装飾品を単純に現在の金価格で測ることはできないはず。大手銀行のUBSグループも文化的・歴史的にムズカシイいのではと指摘している。
モディ新政権は、改革の目的を3つに分けて実現に向けて尽力中
- 国内企業活動の活性化
- 国外からの投資増加に向けた働きかけ
- 財政状態の改善
- ナレンドラ・モディ:wiki
- どこよりも詳しいナレンドラ・モディ評伝:東洋経済オンライン 帝羽 ニルマラ 純子
- 10の重点課題:インド進出支援ポータル