米国長期金利(10年債)は、2.8%を超えてきたことから、米国株は大幅に下落。パウエルFRB新議長は、試練を受けることになりました。パウエルショックとも言われそう。
金価格は、他の資産が下落している中で、現状維持を保っています。日米の株価・新興国の株価は大幅に下落。
◆金価格をはじめとした日足チャート 2018年2月6日 GMOクリック証券のCFD
2006年にFRB議長に就任したバーナンキさんは2007年サブプライム、2008年リーマンショックへの対応。1987年就任のグリーンスパンさんは、10月にブラックマンデー。イエレンさんの後任としてパウエルFRB議長さんはどのような対応を行うのでしょうか。
パウエルショックによる株価下落のきっかけは米国の雇用統計。
パウエルショック:米1月雇用統計で長期金利が急騰し株価が下落
まず、2018年2月2日に発表された米1月雇用統計の数字が予想より良かったために、FRBの利上げスピードが早くなると予想した市場は、米10年債金利の上昇という反応を見せました。金利が2.8%を超えたことで、以前から株式の調整や下落がありえる水準に達したために下落スタート。ちなみにパウエル氏のFRB議長就任は、2月5日ですから、まだ何もしていないのに、パウエルショックという名前が付くかもしれない不運な男。
- 米1月雇用統計の非農業部門就労者数:前月比+20.0万人(17.5万予想)
- 失業率:4.1%(予想及び前月と同じ)
- 平均時給:前月比0.3%増(予想と同じ)。前年比で+2.9%と市場予想の2.6%を上回る
雪や寒波などの天候不順にもかかわらず、雇用増加と時給アップとなったために、FRBの年内利上げ回数が3から4回に増えるのではないかとの見方が市場に広まりました。
◆米10年債・2年債金利の表示
急激に上昇。2014年は、3%で止まりましたが、今回は更に上昇するのでしょうか。
米国の投資家ガンドラック氏は、2.63%そして2.8%や3.00%という数字を重要視。実際にパウエルショックが起きてしまいました。
長期金利が2.63%を超えた場合には、金利上昇に歯止めが効かなくなり、そして株式市場は影響を受けることになる。そしておそらくそれが次に実際に起こるシナリオだろう。米国株は大幅下落
ガンドラック氏は、長期金利が3%になってもまだ買えないのではないかと。2018年の米国経済成長が強い中で、1987年に似ているとの指摘も行っています。ビットコインをはじめとする仮想通貨のバブルは、1999年のドットコムバブルにも似ていると指摘。
金利が高くなれば、投資家は、リスクの高い株式を保有しなくても国債を保有していれば利益が出ることになります。そのため、株式市場から国債市場へと資金が流れるという現象が生じます。そして、ジャンク債やハイイールド債の魅力は薄れ、こちらの価格は下落。我らが金価格は、金利上昇自体は弱いものの資産価格が下落すれば、ヘッジのために買われて相殺される部分が出てくるでしょう。
FRBが指摘しているように、インフレが出てきた可能性があります。2018年3月の利上げは確実視されつつあり、年4回の利上げが視野に入っています。そうなると株式市場の崩れすらありえますから、パウエル議長はじめFRBの判断が問われます。
2018年の米国株式市場は下落リスクが高い。その規模次第で、株式市場からあふれ出したマネーが債券に向かうのか金投資をはじめとしたコモディティに向かうのか注目です。
弱いながらもパウエルプット?
FRBは、この事態を受けて、住宅ローン担保証券(MBS)を大量に購入。一応、パウエルプット=市場の値下がりを防止するオプション機能をFRB議長が実施すること。
しかし、パウエル議長の議会証言では、金融政策は緩和的、株式市場の動きをコントロールするのがFRBの仕事ではないと、パウエルプットを否定しています。
そうそう、パウエルショックは、大きな金融危機には至らず、収束しました。
この記事へのコメントはありません。