世界最大の金需要国のインドで経常赤字が拡大し、金輸入や投資について様々な規制や税金が課されています。
インドの金購入規制:関税引き上げなど
・2013年1月21日に金の輸入税を4%から6%に引き上げ
・2013年6月5日にさらに8%に引き上げ
・2013年6月4日:金輸入規制の強化で国内の宝飾品業者に現金のみでの金購入を義務付け
・2013年8月13日:金の輸入関税を8%から10%に引き上げ。金加工品の税率も7%から9%に引き上げ。
銀の輸入関税も6%から10%に引き上げ
インドの経常赤字や経済成長率
経常赤字は2011/12年度で782億ドルに達しており、その内の約69%にあたる492億ドルが金輸入によるもの。
金の輸入は経済成長に伴い増え続けて2011年には過去最高の969トンに達した。2012年は864トンとやや減少。
インドの11年度の輸入総額のうち金は11.5%を占めた。
インドの経常収支の推移
2013年度970億ドルに達する。このグラフを見ると何か対策を打ちたくなるのも理解できます。
インドの実質経済成長率
成長率は高いものの年により差が激しく不安定
ワールドゴールドカウンシルによる金需要予測
WGCインド事務所のマネジングディレクター、ソマスンダラム氏はインドの金需要は今年965トン前後となる見通しを示した。 2012年は864トンだった。
グローバルストラテジストのマーカス・グラブ氏は、2013年1~3月の需要は256トン、今年の需要は1000トン台との見込みを示す。個人は経済が悪くても金投資への意欲を持っているとのこと。
もくろみ通り金投資は減るのか
インド政府が金輸入を制限すると密輸が増える?
政府が金投資や宝飾品需要を減らそうと金に関する制限を掛けると、素直に需要が減るのでしょうか?
もちろん、多少の効果はあると思いますが、そう簡単に文化的な背景は変わらないのではないかという観方が多いのも事実です。
では、どうするのでしょうか?
その答えになりえるのが密輸です。結婚式の持参金・衣装やアクセサリーに金を持たせたくても正規のルートでは買いにくいとなれば密輸に頼る可能性もでてきます。
経済が低迷すると購入量は減ると思いますが、高成長で需要が旺盛になると、金購入を我慢するよりかつての禁酒法が骨抜きになったように別のルートを作り上げることになるかもしれません。
●インドで11月19日、航空会社ジェットエアウェイズの機内から金の延べ棒が見つかったニュース。
CNNによると金の延べ棒12本、計24本が出てきて時価総額は7220万ルピー(約1億1600万円)相当。関税逃れが目的に密輸でしょう。
●インドの高級宝飾店:ザベリアンドカンパニーのウェブサイト
●金価格暴落時のインドニュースの動画(youtube)
インドルピー相場
通貨の状況を見てみても厳しそうで、ルピー相場は、米国の金融緩和縮小の見通しにより、新興国からの資本流出懸念で下落傾向にある。
インド準備銀行(中央銀行)はルピー下落を食い止めようと為替介入を随時実行し、ルピーが7月8日に対ドルで過去最安値(1ドル=61.21ルピー)をつけたことを受け、インド当局は為替デリバティブ取引の規制強化を発表
米ドル/インドルピー相場
過去5年のインドルピーの対ドル相場の動きです。ここにきて急激にドル高ルピー安が進行しています。
世界全体のマネーの流れとしてドルへ資金が戻りつつあること、巨額の経常赤字を出している点で通貨(ルピー)への信任が揺らいでいます。
インドルピー/日本円の為替相場推移