マイナス金利とEUへの暗雲で金投資への選好度は引き続き強い:2016年7月11日~

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金は引き続き、安全資産との考えから、買い進まれてNY金価格は1377.5ドルまで上昇。金曜の米雇用統計が、予想を大幅に上回った結果、売りが出て、1358.4ドルで引けた。

6月の米雇用統計は非農業部門が前月比+28.7万人の大幅増加で、米国の年内利上げ観測が浮上。5月の数字は下方修正されて4-6月の平均値は14.7万人と2015年の平均値22.9万人と比較すると減少傾向。平均賃金の伸びは前年比+2.6%と、賃金の緩やかな上昇トレンドは変わらず。


マイナス金利の影響で米国債への投資増加・金投資も増加

利上げの可能性が少し出てきたとはいえ、6月の数字も一過性の可能性があり、年内利上げへの道はまだ遠い。

米国の利上げは、米国外のドル建て債務やドルペッグの通貨にも影響をもたらし、新興国が崩れる可能性がある。以前よりもそのリスクは高まっており、そう簡単に利上げをできる状況にはありません。英エコノミスト誌の記事によると、世界の経済と人口の約60%が米ドル圏に組み込まれており、利上げを行うと世界経済に大きな変動が起きてしまいます。それを吸収できるだけの米国経済の強さ・ユーロや日本の安定度はありません。

●NY金価格の日足チャート:2016年7月8日 EVOCX

NY金の日足チャート

上昇トレンドが続くも、米雇用統計の好調もあり、少し調整があってもおかしくありません。

日本・欧州はマイナス金利が続き、世界的に金利が低くなっており、米国の債券利回りも低下。JPモルガンの佐々木融氏によると、為替ヘッジ付きの外債投資で米国債を買う動きが非常に増えており、日本の投資家は日銀のマイナス金利導入から6月末までに約13兆円の外債投資を行っていることが円高の要因と説明。フィッチ・レーティングスの報道では、世界全体のマイナス金利国債は2016年5月時点で10兆ドルとのこと。

10年国債利回り:2016年7月8日

  • 日本:-0.29%
  • オーストラリア:1.88%
  • アメリカ:1.36%
  • ドイツ:-0.19%
  • イギリス:0.73%
  • フランス:-0.10%
  • イタリア:1.19%
  • スペイン:1.14%
  • ギリシャ:7.7%
  • スイス:-0.69%

金融機関は、バーゼル規制などの規制で縛られており、リスクのない国債での運用を一定量義務付けられており、安易にリスク資産を買うことはできません。そして、民間投資家にとって、世界的な金利低下状態は、金相場を選ぶ理由の一つ。

●東京金価格の日足チャート

東京金価格

東京金価格は、実線・遅行線が一目均衡表の雲に抑えられる形。レンジ相場の様相。雲の形から実線自体は雲抜けしやすい形も急上昇するのはムズカシイのではないでしょうか。目先の為替相場も円高トレンドが進行しており、こちらが円安もしくは横這いに転換しないと東京金価格の一段上げはしにくい展望。

さすがに円相場が100円を割れて急落するような場合には、日銀介入の恐れありと思います。しかし、それでトレンド転換するかというとそうはカンタンに戻らないのではないでしょうか。

EUは本当に大丈夫?

EU離脱ショックの影響が大きい中、ユーロへの信認が揺らいだことで、金投資への選好度は引き続き強い。世界の投資家は米ドルをお腹いっぱい保有しており、ポートフォリオの分散投資を考えると、安全かつ収益を得られる資産がほとんどなくなっている現状は厳しい。

イタリアの銀行は、不良債権が多く、今年はじめから株価は大きく下落。英国のEU離脱ショック以降、注目度が拡大しており、イタリア経済危機が起きるのではないかとの危惧が高まっています。

さらに、スペイン・ポルトガルが、2年連続で欧州委員会と合意した財政再建目標を達成できなかったことで、欧州委員会が過剰財政赤字の制裁手続きを開始したとロイターが報道。12日の定例理事会で制裁について決定するとのこと。

欧州連合(EU)の規定では、加盟国は財政赤字をGDP比3%以内に抑える必要がある。スペインとポルトガルの両国は2009年以降、過剰財政赤字是正手続きの適用国となっており、2014、15年は2年連続で欧州委と合意した財政再建目標を達成できなかった。

EU財務相は12日に開催する定例理事会で、制裁措置に関する欧州委の勧告について是非を決定する。理事会は勧告を拒否することも可能だが、それには加盟国の特定多数の賛同が必要なため、その可能性は極めて低い。ロイター

ただでさえ、経済的に苦しくて、財政再建目標を達成できなかった両国から罰金を取るなんて・・・これが正式決定されれば、EU離脱の動きが高まる要因がまた一つ増えることになるでしょう。

英ポンド相場は大幅に下落、英国は、従来の利上げ路線から利下げ路線へんと転換、日銀やECBの追加緩和も視野に入っており、世界的に一斉緩和の可能性も高い。そうなると世界経済はバブル化が本格化し、新興国の復活や金価格の急上昇もありえます。

ベトナムでは、英国のEU離脱ショック以降、金投資への選好が一気に強まり、1テール(375g)あたり、2週間で600万ベトナムドン(約2.7万円)上昇。ベトナム中央銀行が介入に入ることになり、ようやく急騰が落ち着いたとのニュースが流れています。

全般的に世界経済の不安定さは増しており、金投資への追い風は強まっているのではないでしょうか。