NYの金相場は、米国FOMCで利上げが決定されると急落。米ドルの上昇に対して、金が売られる展開。節目であった1,150ドルを大きく割り込み、12/15には、1124.3ドルの安値を付けた。
現在、金投資の世界には逆風が吹いており、しばらく、トレンド転換して上昇に向かう芽は少ない。
●NY金の日足チャート:EVOCX
FOMCがタカ派となり金相場は下落
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2016年12月のFOMCで利上げが公表されて、NY金価格は下げました。利上げ幅は0.25%で予想通りの動き。
サプライズとなったのが、経済・金利見通しで、2017年の利上げ見通しをこれまでの、2回から3回に引き上げたこと。金利上昇を強めるタカ派的動きから、金利を生まない金を売る動きが生じました。
FRBは、トランプ氏の財政出動政策によって、インフレが強まる懸念を持っています。ここは、イエレン議長がオブラートに包んで声明を出しているところ。
本来、インフレになると金価格が上昇するというのがセオリー。しかし、近年、インフレが起きても、株式などの資産価格が上昇する場合は、金利を生まないことから、下落する動きを見せています。金相場が上昇に転ずるのは、株式や不動産などが下落する動きを見せた時。または、米ドルの価値が弱まった時。詳しくは、こちらをお読みください。⇒単なるインフレでは金相場は上昇しません。
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●各金融市場の終値
米10年債の金利が2.59%まで上昇。2.7~3.0%辺りまで上昇すると大きなバブル崩壊を引き起こす可能性があると危惧されています。
NY白金の方は、これまた、節目たる900ドルを割り込んでしまい、888.7ドルまで一時下げるなど、大きく下落を見せています。
NY金相場の弱気要因
- 金ETFからの資金流出が続いていること
- 2017年1月からのインデックスファンドの組み換え
- 中国政府による金の輸入制限の話:人民元の流出を抑えるため
- インドのモディ政権による高額紙幣無効により現金不足⇒金投資需要の減少
- トランプ政権による減税・財政出動による株高・金利高⇒金利を生まない金は下落
- 米株高・金利高・米ドル高⇒米ドル上昇は金価格下落
- イタリアの国民投票・モンテパスキ支援に伴うユーロ不安⇒米ドル上昇
- またまた、ギリシャ支援に伴う問題再燃でユーロ不安⇒米ドル上昇
NY金相場の強気要因
- イスラム法による金投資の新基準制定⇒年間需要の大幅増加
- 米金利上昇による量的緩和バブルの崩壊⇒株価暴落による金価格上昇
- ユーロ不安の急激な上昇⇒ユーロ分裂でドイツマルクへの回帰⇒ユーロ=マルクの上昇
- グローバル化の後退⇒各国通貨の信認低下による金投資需要増加
- トランプ政権による財政出動による財政赤字
- トランプ政権の減税策の後退による株価下落
- 自国中心・保護貿易主義の台頭で金やビットコインへの需要増加
相場の強気・弱気要因を上げてみました。弱気要因はすでに現実の課題となっており、実際に金価格を下落に導いている現象がほとんど。
一方、強気要因の方は、まだ潜在的な要因であり、明日明後日にどうこうなる問題ではありません。
今の株価・債券上昇が続けば、バブル崩壊の火種は大きくなっていきますから、安値の金を買い拾うのは良いと思います。しかし、短期での上昇を期待するのは、まだ賛成できる状況ではないと思います。
今年の夏頃には、ジム・ロジャーズ氏が、金価格の1,000ドル割れを予想したりもしていました。強気になれない気持ちは、私の同じです。
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