エジプト情勢で地政学リスク高まり金への需要が急激に高まる

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2013年7月に起きたエジプトのクーデター以降も、情勢悪化は止まらず、ついに非常事態宣言が出ました。

このエジプトの治安悪化が地政学リスクにつながるとして金価格は上昇しています。

民衆の不満が高まり軍事クーデーターが起きたとはいえ選挙で選ばれた政権です。民衆の不満が高ければ、選挙で民意を問い政権交代を行うのが民主主義の基本ですね。

それが、軍事クーデターという形になったのは、現政権側が選挙では勝てないからだという説があります。

もちろん、前政権のモルシ氏側も圧倒的な民衆の支持を受けているわけではありませんので事態は混迷を深めています。

エジプト情勢悪化で金価格上昇

4月に暴落した金は、7月まで明確な下降トレンドを描いていました。

流れが変わりだしたのは、7月3日のクーデター以降、NY金価格は上昇傾向です。

NY金価格の日足チャート(エースCXオンライン

NY金価格は上昇

【NY金価格の推移】

●4月10日の終値(暴落前):1558.8ドル
●6月28日の安値:1179.4ドルを底値
●8月15日の終値:1360.9ドル

6月末を安値として、その後は上昇に転じています。もちろんエジプト情勢以外の要因も背景にありますが、大きな要因はエジプトを含む中東問題です。

東京金価格の日足チャート

東京金価格の日足チャート

【東京金価格の推移】

●4月10日の終値:5,071円
●6月28日の安値:3,750円を底値
●8月15日の終値:4,219円

日本の商品先物取引所、東京金価格も着実に上昇

エジプトクーデター後の現在

アメリカでは、クーデターとして認めると軍事援助ができなくなるため市民の支持を受けた行動であると公式には発言。

エジプト暫定政権の顔だったノーベル平和賞の受賞者「エルバラダイ副大統領」は辞意を表明

14日、治安部隊がカイロ市内で座り込みを続けていたモルシ氏の支持者らを強制排除525人が死亡し、およそ3700人が怪我

フランスのオランド大統領は、「平和的なデモを行う権利がある市民への弾圧だ」として激しく非難

国連安保理は、15日に非公開の緊急会合を行い、政権に自制を求めた。

オバマ大統領のデモ隊強制排除後の発言

・われわれはエジプトの暫定政府と治安部隊の行動を強く非難する

・9月予定のアメリカとエジプト合同軍事演習の中止を通知

・アメリカがエジプトに供与している年間15億ドルの財政援助は、今後も暴力行為が続けばさらなる処置もありうる。
15億ドルの9割近い13億ドルが軍事支援

・へーゲル国防長官は、エジプト暫定政権のシシ氏に自制と平和解決への協力を申し出る。軍事支援についても言及。

ムスリム同胞団のゲハド・アル・ハダド氏

ロイター通信によると、ムスリム同胞団の広報担当者、Gehad El-Haddad(ゲハド・アル・ハダド)氏は「怒りは制御できる範囲を超えている」「われわれは攻撃や身柄拘束、殺害に直面しており、感情はだれにも制御できないほど高ぶっている」と話す。

ツイッターで「われわれは常に非暴力的で平和的となる。力強く、毅然とした態度を続ける」と表明。「われわれはこの軍事クーデターを失敗させるまでまい進する」

非暴力平和路線で進むか暴力的テロ的路線で立ち向かうかは国際世論を味方につける上で印象が大きく変わってきます。

エジプト情勢悪化による金価格の予測

このまま、衝突が激化していけば地政学リスクの高まりによって金価格は上昇します。一方、平和的解決が模索され、混乱が落ち着けば下落することになります。

どちらの方向に進んでいくのかポイントを見てみましょう。

中東情勢混乱の背景

・米国としては、イスラエル防衛のために親米政権がエジプトに欲しい

・軍部はアメリカの援助がなければ規模・補給を維持しにくい

・欧米は世論に配慮する必要があり、残虐行為・無抵抗の市民に対する弾圧は許可しない

・エジプトで選挙を行うと前政権(モルシ政権)側が勝つ可能性が高いものの、強力な政権を打ちたてることは難しく世論は二分されている。

・前政権の母体であるムスリム同胞団の永続的な政権は、イスラエルおよびアメリカが望まない?ハマスなどイスラム原理主義の母体となった団体。

・ムスリム同胞団が、かつてのトルコのように政教分離を約束した政権運営を行うことはできない?

・本格的な武力行使をどちらが先に行うか。国際世論の力をどちらが先に味方につけることができるか。

金価格への影響と予測できるシナリオ

1.政治混乱が紛争などに進み中東全体に飛び火する。

王政への反発、イスラエルへの反発、欧米への反発、宗教対立など、主な対立構造がどこへ向かうのかにも注目です。

この場合、地政学リスクが非常に高くなり、金価格や石油価格の上昇へと向かいます。

2.欧米の介入・圧力などで現政権と前政権が妥協する。

どちらが主導権を取るかは今後の展開次第ですが、双方が大きく血を流す前に妥協して協力して政権運営にあたるパターンです。

地政学リスクは減少し、金価格は下落の方向に向かいます。

3.エジプト国内での混乱が続く

両政権とも決め手に欠けるが、双方とも本格的な武力行使には至らずエジプト国内での混乱が続く。

4.モルシ政権側もしくは現政権側の勝利

どちらかの勢力が他方を圧倒し、安定的な政権を築き上げる。短期的に争いが終わるか長期化するかで金価格や石油価格の変動は大きく変わります。

イスラエルとパレスチナの和平交渉

イスラエルとパレスチナによる直接和平交渉で14日、両者の交渉担当者による本格的な協議開始、3年振りの再開。

一方では、14日、パレスチナ人受刑者26人を釈放したものの占領地でのユダヤ人入植者向け住宅建設を推進していくと表明。

こちらのイスラエル問題にリンクしていくのが最大の地政学リスクとなり、世界の市場全体でリスク回避の動きが起きてしまいます。どのシナリオが現実になるか金価格の動きと報道の双方を見ていくことで判断しましょう

金相場を予測する上でもう一つのポイントであるFRBの量的緩和縮小と合わせて注目!