エジプトクーデターとシリア内戦の背景:金相場と原油相場に影響

<スポンサーリンク>

2013年7月現在、中東情勢の混迷は深まっています。

大規模デモが起きていたエジプトは、7月3日にクーデーターが発生しモルシ大統領は軟禁状態に、憲法裁判所長官のアドリ・マンスール氏が暫定大統領に指名。
これにより、地政学リスクが高まり、原油価格および金価格の上昇が起きています。

今後、金相場に大きな影響を与える有事のリスク(地政学リスク)に注目です。

元々、アラブの春が起きた理由の一つは、オスマントルコ帝国が第一次世界大戦で倒れたあと、イギリスによって引かれた国境線と据えられた王族の持つ既得権力に対しての反乱の側面があります。

もし、王族に生まれると石油利権で神のような暮らしを行うことができます。しかし、さすがに王族第一世代は高齢化し世襲が次々に行われると、民衆の中でもおかしいのではないかという声が出ています。

さらに、アメリカ・イギリスなど欧米各国の影響力が低下することで、現政権への支援も弱まっています。中東の石油への依存減少、米ソ冷戦の終了など。


大きな地図で見る

NY金相場と原油相場

●NY金チャートの日足(2013年3月~)

NY金チャート

NY金相場は、6月28日の安値1179.4ドルを底値として上昇傾向を見せています。

ソシエテ・ジェネラルが1200ドルへの下落予想を出していたように、2013年4月から始まった金の暴落は1200ドルが一つの目安になりそうです。

●NY原油価格の長期推移

原油価格(WTI)の推移 - 世界経済のネタ帳

●NY原油価格の推移(2013年3月~)

 NY原油価格チャート

NY原油も100ドルを突破。

チャートはエースCXオンラインを利用

エジプトのクーデター

大規模デモが起きた理由は大きくは下記の二点です。

・経済状況の悪化・インフレの進行
・モルシ政権で進む社会のイスラム化。欧米的な文化・芸能活動への圧力

一年経って、人々はムスリム同胞団(ムルスィー大統領の出身母体)が、パンと尊厳と自由と社会的公正を求める革命精神の実現に努力するのではなく、ただ自分たちの政治計画の強化ばかりに腐心していることに気がついたのだ。エジプシャン・ガゼット』紙が指摘:ニューズウィーク

7月9日、マンスール大統領、エルバラダイ前IAEA(国際原子力機関)事務局長を副大統領に、首相にビブラウイ元財務相を指名。

親米ムバラク前政権が倒れて選挙でムスリム同胞団が政権を握ったが、アメリカやサウジアラビアの支援を受けている前政権側の巻き返しとの声も上がっている。

インフレ率(年平均値)の推移 - 世界経済のネタ帳

実質経済成長率の推移 - 世界経済のネタ帳

エジプト政権の歴史

1956年 ナセル大統領と汎アラブ主義
1958年 シリアと連合してアラブ連合共和国成立
1967年 第三次中東戦争で敗北し、ナセルの権威は失墜
1970年 サダト大統領就任(親米・親イスラエル路線)
1981年 サダト大統領の暗殺でムバラク大統領就任
2011年 エジプト革命によりムバラク大統領辞任(アラブの春)
2012年 モルシ大統領が選挙で選出(ムスリム同胞団)
2012年11月 大規模な反政府デモ
2013年6月30日 大規模な反政府デモ開始
2013年7月3日 エジプト軍司令官兼任のシシ国防省が憲法停止宣言。モルシ大統領の権限剥奪
2013年8月14日 エジプト大統領府は14日、全土に1カ月にわたり非常事態宣言を発令すると発表

アラブの春が起きた国

2011年 ジャスミン革命 チュニジア
2011年 エジプト革命 エジプト
2011年 リビア革命 リビア
2012年 シリア革命(内戦)
2013年 エジプトでクーデター

シリア内戦の状況

シリア内戦は、2011年1月26日より続いている反政府運動及びシリア政府軍と反体制派による武力衝突でチュニジアのジャスミン革命からの流れ。

実質経済成長率の推移 - 世界経済のネタ帳

2013年8月26日:化学兵器使用の疑いで米国のケリー国務長官が記者会見:シリア内戦の欧米介入する可能性高まる

アサド政権

・現アサド政権は少数派のアラウィ派。アラウィ派はシーア派に近い

・アサド政権を支援しているアラブ諸国はほとんどがシーア派の国

シリアの反政府派

・反政府派はスンニ派が多数

・スンニ派はシリア国民の80%を占める

・反政府側に明確な指導者不在

シリアをめぐる各国の状況

・シーア派のイランはアサド政権を支援

・レバノンのイスラムシーア派組織:ヒズボラがアサド政権を支援

・イランの対立国のサウジアラビアは反体制派を支援、最大の支援国との話しもあり

・スンニ派のカタールは反体制派を支援

・過激派のアルカイダは反体制派を支援

・トルコはアサド政権と対立関係なので反体制派を支援

・ロシアは冷戦時代からの関係によりアサド政権を支援

・中東民主化に大きな影響を与えているアメリカは反体制派を緩やかな支援

・英国とドイツは反体制派を緩やかに支援

●2012年7月31日 オバマ大統領とトルコのエルドアン首相が電話会談
アサド大統領の退陣とシリア国民の正当な要求に応えること
4万4千人のシリア人がトルコに避難しており、トルコの寛大な措置に敬意

●2012年10月 トルコ国内にシリアの砲弾。トルコ議会はシリアに軍事侵攻する権限を与える審議

●2013年4月 オバマ政権はアサド政権が化学兵器のサリン使用の可能性に言及。反政府側が使用したとの説もあり

米国や欧州のシリアへの介入はどうなる

1.直接軍事介入:米国民の反対は根強い
2.国連の査察団の調査継続:内戦停止の実行力はない。
3.NATOの介入:リビア空爆やユーゴ空爆を実施したが今回は?
4.反政府勢力への武器供与:直接介入ではなく反政府支援
5.イスラエルの関与:レバノンのヒズボラへの攻撃、シリアへの直接攻撃など

複雑な中東情勢

文章で伝わりにくい複雑な情勢を図にしてくれています。

中東情勢

※クリックすると下記のサイトが開きますのでそちらで詳しく上記の図を見ることができます。

出典:日本国際ボランティアセンター

エジプトは、クーデーター後も混乱が収まらず地政学リスクの高まりで金価格も上昇(2013年8月16日)しています。