イランのハッサン・ロウハニ新大統領が目指す道次第で、金価格や原油価格に多大な影響を与えます。
化学兵器使用問題から一気に米ロ対立が国際舞台を揺さぶり金の上昇につながったシリア情勢は、イラン関係が大きく影を落としています。
ハッサン・ロウハニ氏の経歴
テヘラン大学を卒業、英国のグラスゴー・カレドニアン大学に留学し、博士号を取得。 イラン・イスラム革命前は、反シャー運動に参加
イラン・イラク戦争時は、高等国防委員会委員、イラン空軍司令官、イラン国軍副司令官をつとめた。
21世紀のイランは、イスラム革命への回帰を願う保守強硬派が力を増し、前大統領のアフマディネジャド氏は対外強硬路線を選択し国際的な孤立を招きました。核開発および基幹産業の国産化による対外摩擦と欧米による経済制裁でイランの経済はダメージを受けています。
2013年6月の大統領選で選ばれた保守穏健派のハッサン・ロウハニ新大統領が8月3日に就任し手腕や選択に注目しておきましょう。
イラン核開発と経済制裁
1979年:イスラム革命
1985年:ウラン濃縮計画に着手
2002年:ブッシュ大統領の悪の枢軸発言
2003年:IAEA査察団の受け入れ。英仏と経済協力
2005年:保守強硬派のアフマディネジャド氏が大統領就任。ウラン濃縮に動き
2006年:ウラン濃縮を再開。国連安保理による初の制裁決議
2011年:欧米など6か国との核交渉決議決裂。米国のイラン原油制裁法が成立
2012年:欧州連合がイラン原油の禁輸決定
イランの地政学としての重要性
巨大な石油埋蔵量
ペルシャ湾とインド洋を結ぶホルムズ海峡への脅威:世界で最も重要な石油の要衝
イランとサウジやUAEのあるアラビア半島に挟まれたペルシャ湾の出入り口にあたるホルムズ海峡は、石油輸出の生命線です。
ロウハニ新政権の方針
- 新内閣に実務者を多数登用
- 軍事組織「革命防衛隊」を政府要職から外す
- 報道や表現の自由に寛容な方針
- 経済問題の改善
- 欧米の対イラン経済制裁への対処
- 対サウジアラビア外交における関係改善への動き
8月19日:イランのロウハニ大統領が米テレビとのインタビュ ーで、「いかなる場合でも決して核兵器開発を行わない」と発言、欧米との関係改善を通じて経済制裁解除を目指す姿勢を明らかに。
地政学リスクと金相場
もし、中東の地政学リスクが後退すれば金価格は下落。逆になれば上昇します。
大統領は行政府のトップですが、国家元首は最高指導者のハメネイ氏。ハメネイ氏との個人的なつながりを持つロウハニ大統領が改革路線を進めるか保守強硬派の巻き返しや抵抗度合いがどうなるか。
イランが混乱や内戦に陥るとシリア以上に戦火が拡大する可能性もあります。
このままロウハニ政権の政策が上手く進めばリスク後退、保守派の抵抗や何らかの事件・内戦などが起きればリスク拡大で金相場の上昇要因。
11月24日ジュネーブでイランと米国など6か国協議で合意。歴史的なターニングポイントになるか注目。
米高官によると、今回の合意には、プルトニウム製造につながるとして西側が特に懸念を強めていた西部アラクの実験用重水炉の建設中断などが盛り込まれている。また、イランは濃縮度5%超のウラン濃縮活動を凍結することも約束したという。
見返りとして6カ国側は、貴金属や石油化学製品などの対イラン禁輸措置を解除する。ロイター
イランの経済データ
イランの財政収支の推移(1980~2013年)
財政収支 = 歳入 - 歳出は、大きくマイナス。
失業率の推移。上昇傾向にある。
経済成長率も落ち込み傾向。
イスラエルと石油に脅威を与えるイランに対して、米国がプレッシャーと政権交代を望んでいたことは事実です。
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そして、中国とロシアも中東の石油権益に手を出しており、地域紛争の面と大国同士の駆け引きや対立があることから事態が複雑化しています。
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