銅価格と金価格の比率を計算し、インフレや金利の先行指標として利用する方法を米投資会社のジェフリー・ガンドラック氏は、利用しています。
今回は、なぜ、銅/金の価格比率を見れば、インフレや金利動向が分かるのかということを解説します。
インフレ・金利の先行指標:銅/金の価格比率
まずは、金属の銅、貴金属の金。この二つの金属の性質を確認してみましょう。
- 銅:工業用の金属で、景気拡大時に上昇しやすい。金利上昇時に買われる。
- 金:工業&安全資産で、景気後退時に上昇しやすい。金利下落時に買われる。
銅の用途は、工業用需要主体で、資産として保有することはまれ。一方、金は工業用の需要と投資用の資産・装飾品としての用途と複数の用途を持つという違いがあります。
二つのコモディティには、明確な差があることが分かりますね。だからこそ、銅価格/金価格の比率が景気やインフレの先行指標として役に立ちます。
共に、上昇する場合があっても、景気やインフレの度合いによって、それぞれの上昇度に差が生じます。そのため、単純な価格差ではなく、割り算を行います。
つまり、下記のように、景気・金利の指標として利用できます。
- 銅/金価格の上昇:長期金利の上昇&景気・インフレ上昇
- 銅/金価格の下落:長期金利の下落&景気・インフレ下落
いつも、この通りになるとは限らないものの、価格割合を景気先行指標として、利用できると思います。世界経済が良くなれば、インフラや機械作りに必要な銅は、先行して買われるというのが、その理由。
銅/金の比率:計算方法
計算方法は、シンプル。銅価格を金価格で割ることで計算できます。
金価格が、1トロイオンス1,200ドル。銅価格が、1ポンドあたり2.719ドル。この時、銅価格/金価格は、2.719/1200で、0.002266。
ちなみに、2018年6月頃は、0.0025あたりでしたから、2018年8月末現在の比率は、ピークから下落。
- 銅価格/金価格のチャート:Stockchart
- 銅先物取引価格:コモディティの銅先物価格
- 金先物取引価格:金の先物価格
- CME:金利先物の解説
Fredも、この銅価格/金価格の比率を長期金利(米10年債)と関係づけており、データの一つとして表示しています。
FRED 長期金利と銅価格/金価格のチャート:2018年8月27日
このように、2つのコモディティの価格比率は、長期金利と深い仲にあることが一目瞭然。
銅価格が、景気に関係する理由
金価格のことは、当サイトで、たくさん書いていますので、銅のことを少し書いておきます。
- 銅価格は、1ポンド(約454グラム)あたりの米ドル表示。
- Copper:コッパー
- LMEの在庫量は、価格に大きな影響を与える。
銅は発電、建築、通信など多様な製品に利用あれている金属。近年は、世界の工場となった中国の製造業の景気に左右されやすい。そのため、中国経済の減速時は、価格が下がりやすくなります。
CMEによると、世界の銅鉱石は、約45%が中国に輸送されて、そこから製品に加工される。そして、中国は、世界の需要の約10%を利用する銅の需要大国。
そのため、銅/金の価格比率は、世界景気の中でも、少し中国経済の景気に影響されやすいと言えます。こういった細かい点は、時代にあわせて変わるのでしょう。
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