2014年の金市場に関するニュースを振り返ってみます。
全体的な2014年は、金価格下落の年。1200ドル~1400の幅で動いたとはいえ、前年から続く下落トレンドのまま。振り返ると金市場および金融マーケットはいろんなことがありました。
2014年の金価格動向
貴金属調査会社GFMS社の2014年最新需給予測および価格予想(2014年9月公表レポート)
- 2014年の平均価格は1,270ドル(前年1,270ドル)
- 2015年に1,170ドルから1,200ドルの範囲で底入れ可能性
- 新規の産金量予想は前年比47トン増加で3,101トン
- 総生産コストは上半期で1,350ドル(前年1,620ドル)。ただし会計上費用未計上
- 2014年の総需要は前年比15.9%減少の4,174トン
- 総供給は4,248トン
- 宝飾需要は6.7%減の2,210トン
- 投資需要は34.8%減の1,156トン
- 需給は74トンの供給過剰
- 投資需要予想(金地金、金貨、金ETFの合計)は前年比136トン増加の1,031トン
- 金ETFの売却量は125トンと前年の880トンから減少
トムソン・ロイター:Goldレポートダウンロード
●NY金(ローソク足)と東京金(ライン)の週足チャート(2012年1月~2014年12月末)
(EVOCX)
ドル高による金価格下落。しかし、東京金は円建てのため円安の恩恵で価格上昇。
2014年の主な金投資に関するトピックやトレンド
先進国経済は弱いインフレでデフレを心配している状態。そして新興国は経済危機で金需要低下。有事の金買いは価格下支え効果。
- 米国の資産買入れ終了と今後の利上げに伴う米ドル高。ドル高金安の相関関係
- 10月31日の日銀緩和によるドル高円安進行
- ユーロのデフレ懸念
- 中国・インドなど新興国の経済成長ダウンと金投資需要の後退
- インドの経常赤字増大による金輸入規制
- シリア内戦からついにイスラム国の設立へ
- ウクライナを巡る欧米とロシアの駆け引き:ウクライナ内戦
- OPECは減産せずに、シェールオイルとの価格競争を選択
- スイスの国民投票で中央銀行に金購入を義務付ける法律は否決
供給面では、1,200ドルの金価格は産金コストを下回るとして将来苦境に陥る可能性。しかし、需給面で世界経済の牽引役であった中国経済に陰り。中国政府系のシンクタンクである冶金工業企画研究院すら中国の粗鋼生産が今後5年以内にピークを迎えると予測。鉄鉱石・銅などの資源バブルは弾けたとの意見が多い。
一方、原油価格の下落は、世界経済に商品価格全体の低下とともに経済活性化をもたらす可能性がある。これまで金価格上昇は新興国が引っ張ってきたが、米国経済の復活に伴う金需要増加も期待されている。