トランプ大統領は、2018年3月、マクマスター米大統領補佐官(国家安全保障問題)を解任し、ジョン・ボルトン氏を後任にしました。さらに、米中貿易戦争の懸念もあり、金価格は上昇傾向。
なぜなら、ジョン・ボルトン氏は、ブッシュ政権における2003年イラク戦争の立役者の一人。本人はネオコンではないと主張するも対外関係における強硬派であり、各地で地政学リスクを高めることになりかねません。そのリスクを嫌って、金投資への需要が増えているのでしょう。
ジョン・ボルトン氏の強硬路線
トランプ大統領の閣僚は、強硬派が増えており、戦争への準備を整えつつあるように見えます。
ジョン・ボルトン氏は、2001年にジョージ・ブッシュ政権の国務次官として北朝鮮やイランの核開発問題を担当。2003年からのイラク戦争「イラクの自由作戦」を推進する立役者の一人になりました。その強硬姿勢は、北朝鮮・イラクからも強く非難されました。
北朝鮮からは人間のクズと呼ばれた程で、その時の経験を生かして、北朝鮮に圧力をかけるのがトランプ大統領の意向でしょう。北朝鮮とは、韓国そして米国との首脳会談が行われる予定も時間稼ぎに過ぎないとの見方が強く、舐めたらあかん・・・との米国側の意志を北朝鮮に伝えることになります。
もし、核開発を止めないなら攻撃も辞さないというジョン・ボルトン氏の好戦的姿勢を利用するのだと思います。しかし、北朝鮮側が、メンツをつぶされた・安全を保証されなかったとして強硬路線にでれば、戦争リスクが急激に上昇することに。米中間での貿易問題も起きていることから、世界的に地政学リスクは一気に高まります。金価格が炭鉱のカナリアとして、市場のムードを表すことになるでしょう。
ジョン・ボルトン氏の意見
ジョン・ボルトン氏は、北朝鮮や独裁政権ににとってもっとも危険な人物。
- キューバに大量破壊兵器や化学兵器が存在する可能性
- リビアの指導者カダフィ暗殺をオバマに助言
- 北朝鮮の金正日総書記(当時)を「圧政的な独裁者」と呼ぶ
- イスラエルによるイラン攻撃を支持
- イラン・コントラ事件の隠ぺい
- セルビアからのコソボ独立をイスラム過激派の温床になると批判
- 国連はなくなっても困らない
過激な意見や語録はトランプ大統領以上かも・・・
米ラジオのインタビューでは、北朝鮮との首脳会談の目的は、「北朝鮮の非核化」と話し、軍事攻撃事態は否定したものの核兵器を持たせたままはいけないと発言。過去25年間、約束を守っておらず、時間稼ぎの策略の可能性ありと指摘しています。ただ、リビアのカダフィ氏に、核を放棄させておいて、殺害へと向かった米戦略を北朝鮮は研究しており、カンタンに核放棄を行うとは思えません。イランやロシアに対する強硬路線も気になるところ。
トランプ大統領は、テイラーソン米国務長官の後任にマイク・ポンペオCIA長官を任命し、今度はボルトン氏と軍事力を背景にした脅しを続けることを継続しています。
ドナルド・トランプ米大統領は以前、レックス・ティラーソン国務長官と意見が大きく食い違う政策の1つは、イラン核交渉であると述べたことがある。元CIA長官で、次期国務長官のマイク・ポンペオ氏が同意した最初の任務は明らかにされていない。「世界最大のテロ支援国と交わしたこの悲惨な取り決めを、元に戻したいと思う」――。ポンペオ氏はCIA公聴会の開催中にツイートした。マイク・ポンペオ氏
マイク・ポンペオ氏がイラン、ジョン・ボルトン氏が北朝鮮・・・衝突の気配がプンプン。以前にボルトン氏が、ブッシュ政権の国務次官だったときは、韓国との関係も厳しいものでした。文在寅政権にとっても彼の存在は、大きな負担であり、北朝鮮との融和政策を進めた場合には、厳しい対応が待ち受けていることでしょう。
貿易問題と安全保障問題を絡めて、各国に譲歩させるのがトランプ政権のやり方ですからね。
実際にボルトン氏はブッシュ政権当時から米朝ジュネーブ合意の破棄や北朝鮮政権の交代などを主張し、北朝鮮に対する宥和政策を進めた金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権とは非常にギクシャクした関係だった。つまりボルトン氏はマクマスター氏に比べて文在寅政権との対話が円滑に進まない可能性が非常に高いため、韓国政府にとってボルトン氏はかなりの負担になるだろう。朝鮮日報
◆金価格の日足チャート GMOクリック証券のCFDチャート 2018年3月24日
1350ドル近くまで上昇した金価格。米中対立及び戦争リスクの高まりを示します。
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