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トランプ大統領のイラン核合意離脱を巡る政策目的は何か?

トランプ大統領は、中東の地域大国「イラン」との対立を激化させる方向に進んでいます。2015年に米英仏独中露との6カ国合意で成立した「イラン核合意:包括的共同行動計画=JCPOA」を破棄するかどうかの決定を2018年5月12日までに下します。日本時間5月9日3時に、イラン核合意についての声明を出すとツイッターでつぶやきました。今のところ、金価格に大きな影響はありません。

イラン核合意とその目的

2015年のイラン核合意:イランは経済制裁の解除と引き換えに核開発の制限を受け入れ。この合意を守っていないとトランプ政権やイスラエルは主張し、核合意からの離脱を主張しているわけです。

対してイラン側は、核合意を守っているが、もしも、破棄されたならばと、核開発計画の再開を示唆。

中立の査察期間である国際原子力機関(IAEA)は、イランは核合意を順守していると報告してきました。

しかし、トランプ大統領は、イランのミサイル実験や革命防衛隊の活動にも制限を加えたい意向を示しています。ヘイリー国連大使は、イランの活動を放置すれば、北朝鮮と同じになる。核開発の疑いがある場所をすべてチェックできていないと指摘。

中東は、地域覇権をめぐりサウジアラビアとイランの対立そしてイスラエルとの対立が生じ混沌状態が続いています。シリアなどで活動するイランの軍事力がなければ、対ISの戦いも治まらなかったかもしれません。

トランプ大統領のイラン政策目的

トランプ大統領は、中東への内政干渉を避けるというのが基本方針。軍事介入をしても情勢は変化しないとの方針を当初に明らかにしています。

その点から、今回のイランに対する強硬姿勢に謎が残るところ。もっとも簡単な解釈は、サウジアラビアとイスラエル&トランプ大統領による反イラン同盟。

これによって、原油価格上昇を目指すとともに、イスラエルを脅かすアラブ過激派の動きを抑えることができます。イランおよび中東の軍事費増大は、米国の防衛産業にとってもプラス。

イラン国内でも核合意が破棄されれば、保守穏健派のロウハニ大統領の力が弱まり、強硬派の力が強まっています。

核合意から、米国が離脱すれば、イランへの経済制裁⇒地域対立激化⇒原油生産ダウンが連鎖反応として考えられます。すでに、それを見越して、WTI原油価格は70ドル台に達しました。金価格は、長期金利上昇にかかわらず、1300ドル台をキープ。

ロイターの記事によるイラン核合意破棄のシナリオは4つ

○制裁解除を再継続

トランプ氏は1月と同様にイランの中央銀行と石油輸出に対する制裁解除を継続する。一方でトランプ氏が指摘する合意上の不備に対応する付帯決議についてドイツ、フランス、英国との協議を続ける。

◎制裁解除を打ち切り

トランプ氏は制裁解除を打ち切る。この場合、解除打ち切りから180日後に制裁違反に対する罰則が発効し、合意に加わっている欧州諸国が解除継続の是非を判断する。欧州諸国は合意を支持している。

このケースでは、イランは核開発制限への合意を今後も順守するかどうか判断を迫られる。

◎制裁解除をいったん打ち切り、再検討

トランプ氏は制裁解除をいったん打ち切るが、欧州諸国が米国と付帯決議で合意すれば制裁違反に対する罰則が発効する前に解除を再開すると発表する。この場合も核合意に従うかどうかの判断はイランに任される。

◎制裁解除を打ち切り、イランは合意に違反と表明

トランプ氏はイスラエルが示したイランが密かに核兵器開発を続けている証拠に言及し、イランは合意に違反していると主張、制裁解除を打ち切る。その後米国はイラン核合意に盛り込まれた紛争解決手続きを使い、国連の対イラン制裁の「スナップバック(復活)」を求める。

ロイター:イラン核合意破棄のシナリオ

トランプ大統領の声明を確認して、記事を追加いたします。

米国は、イラン核合意離脱を表明

そして、5月8日にイラン核合意離脱を表明。共同行動計画(JCPOA)からの離脱について、イスラエルからの情報によると核兵器開発や地域の安定性に悪い影響を与えていると声明で出しています。ちなみに、米国のイラン核合意離脱表明を受けて、金価格は乱高下するも、大きな動きは見せず。

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◆NY金価格:2018年5月9日 1310ドル前後での動き

イランの脅威を解消するために:

イランの核兵器をなくすために幅広い国家連合を作る。地域覇権を揺るがすイランの動きにストップをかける。その内容は以下の通り

  • シリアでは、イランはアサド政権を支持し、残虐行為に賛成している
  • イエメンの紛争を激化させた。
  • イラクで。イランの革命防衛隊が、シリアの反政府団体とテロリストを支援
  • レバノンでは、ヒズボラを支援

トランプ大統領のイランに対する要望

  • 核能力を持つミサイル開発をやめ、弾道ミサイルを拡散させない。
  • ヒズボラ・ハマス・タリバン・アルカイダなどテロリストや過激派への支援中止
  • イスラエルへの攻撃・破壊行動を止める
  • ペルシャ湾・紅海での航行に対する脅威を止める
  • イエメン紛争への関与・拡大を止める
  • イスラエル・米国およびその同盟国へのサイバー攻撃を止める
  • イランでの政権への抗議に対する取り締まりや人権侵害を止める
  • 米国市民を含む外国人の不当な拘留を止める

マクロン仏大統領やメイ英首相をはじめ各国首脳は、米国の離脱を遺憾としています。

賛成しているのは、サウジアラビアおよびイスラエル。イスラエルは、シリアにミサイル攻撃を行なったとの情報も。

イランは、当面、残り5カ国との核合意にとどまる意向を表明。

経済制裁の猶予期間は80日&180日

80日のほうは、期限が8月6日で、イラン政府の米ドル購入、イランとの金取引などが含まれます。

180日は、期限が11月4日で、イラン産の石油製品取引など。

イラン核合意からの離脱:経済制裁の猶予期間

北朝鮮は、米国そして中国の経済制裁によるダメージから、話し合いの席につくことを承知しました。イランに対しても同じ戦法を取るのではないかと思います。

もっとも、北朝鮮は、中国に面倒を見させるという手段がありました。それに対して、イランは、彼ら自身が地域大国であり、宗教的に指導者的位置にあることを忘れてはいけません。

中東は、若年層も多い地域であり、怒れる若者ほど、何をおこすか分からない層はありません。米国の望む方に動けば、現政権打倒から、欧米の近代的民主国家に生まれ変わる可能性あり。

逆に動けば、地域覇権を目指して周囲に戦いを挑むでしょう。

石油および金価格高騰リスクに注目です。

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