ベネズエラは、米国とロシアの代理戦争で内乱リスクあり。保有金も売却か?

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ベネズエラは、原油の生産国。ここは、以前からウーゴ・チャベス~ニコラス・マドゥロ氏と左派政権が続き、米国と敵対中。米国からの経済制裁や社会の腐敗などの要因で、ハイパーインフレで国民が苦しんでいる国。そこまで、金価格に影響を与えている形ではありませんが、地政学リスクの一つとしてご紹介しております。

さらに、マドゥロ政権は、中央銀行が保管する金をアラブ首長国連邦に、売却して現金化する計画がある様子。

ベネズエラの経済制裁と二人の大統領問題

そして、2019年1月23日に、米国など10カ国以上の国が、ファン・グアイド議長(35)を暫定大統領と承認。昨年5月の大統領選挙については不正があったとして、マドゥロ大統領を認めないことにしています。米国をはじめベネズエラ批判側としては、チャベス政権時代から選挙には不正があり、マドゥロ政権を認めず。

さらに、米国は、28日、国営ベネズエラ石油を制裁対象に指定したため、ベネズエラは、原油を米国に輸出できなくなり、経済的に苦しくなります。ボルトン米大統領補佐官は、この制裁で、ベネズエラの資産70億ドルの凍結・輸出が年間110億ドル減ると説明。マドゥロ氏からグアイド氏への政権移譲を促す構え。

トランプ大統領は、軍事的な行動も選択肢と話しており、ベネズエラを巡る戦争・紛争リスクは高まっています。

ただ、ここで問題になってくるのは、大国間の駆け引き。

ベネズエラの混乱は、米露の代理戦争になる可能性

  • 米国をはじめブラジル・アルゼンチン・コロンビアなど主な中南米諸国はグアイド暫定大統領を支持
  • 同じ左派政権のメキシコやボリビアは、マドゥロ大統領を支持。さらに。キューバそしてロシア・中国もマドゥロ大統領を支持

特に、キューバが、マドゥロ政権を支持しており、キューバを支援するロシアという図式。昔のソ連時代から、カリブ海の橋頭堡にしたいロシアの思惑。

安い原油価格では苦しい

ただし、旧ソ連程の力を持たないロシアです。どこまでベネズエラを支えられるかは疑問。経済的に重要な原油価格もベネズエラの採算価格1バレル75ドルはキープできずに、45~55ドルまで下落。原油が上昇しないとベネズエラ経済は持たないでしょう。

かといって、ベネズエラ産原油を市場価格以上で、ロシアをはじめとした支援国が買い取るのも現実的ではありません。ロシア・中国は、米国の経済制裁を抑える力もありませんし、裏で落とし所を見つけることになると思います。中南米は米国ブロック。中東での覇権をロシアに一部譲るというところでしょうか。

そして、ベネズエラ内部では、国民の不満が高まっており、クーデターや内戦に発展する可能性が高くなっています。目先は悲惨ですが、米国の軍事介入での解決よりは、国民自身で未来を決める方がいいとは思うところ。チャベス前大統領自身も1999年にクーデター未遂を起こしていますからね。2002年には、チャベス大統領へのクーデター。2018年には、ドローンによるマドゥロ大統領暗殺未遂事件などが起きています。

軍の上層部は、マドゥロ氏、一般兵士は、反政府と支持が別れつつ・・・CNNニュース。

グアイド氏らは軍に対して蜂起を呼びかけているが、軍の上層部のマドゥロ大統領に対する忠誠は揺らいでいない。しかし匿名で取材に応じた兵士によると、兵卒の間では不満が募りつつある。「軍の約80%は反政府だ」「一部の州では兵士がデモに参加し始めている。だからもし、国際的な支援があれば、もっと大きくなる」。ただし指導部の命令がないまま軍が蜂起するかどうかは疑問だとも言い添えた。CNN

逆に、グアイド暫定大統領の身体に、何かあったときが怖いですね。その時は、米国の軍事介入や政権の激しい弾圧など内戦や内乱が続くリスクがあります。

ベネズエラマドゥロ政権が倒れない理由

そして、ハイパーインフレ・原油安・米国の経済制裁の中でも、マドゥロ政権を倒れない理由として、挙げられているのがコカイン問題。

普通なら政府は倒れそうだ。けれども、コカイン利権を持つコカイン国家ベネズエラは、ハイパーインフレぐらいでは倒れない。南米のコカインの大半がベネズエラを経由して欧米に向かうのだから。風樹茂の記事によると

象徴的な事件がある。2015年、マドゥロ大統領の甥2人は、コロンビア革命軍(FARC )から購入した800キロのコカインをニューヨークに密輸しようとした罪でアメリカに収監された。米国麻薬捜査官(DEA)のおとり捜査にひっかかったのである。ベネズエラのハイパーインフレ

国の規模的な面から、ベネズエラ問題で、大きく金価格が動くとは思えません。しかし、あちこちで起きる紛争に、米国・中国・ロシア・ドイツの覇権争いがあると話は別。ビッグプレイヤーの米国・中国・ロシアに対して、ドイツやイギリス・日本といった中堅国の同盟関係がどのようになるかを読み解いていくことが必要。特に、ロシアと中国というライバル兼利害一致しやすい両大国関係が、ベネズエラ問題でこじれれば、大きな衝撃になるかもしれません。

ベネズエラの金売却計画。

ロイター通信によると中央銀行が保管する金(15トン)をアラブ首長国連邦に売却する予定。政府高官の話だと、合計29トンの金を2月中に売却。

キプロスの経済危機時もそうでしたが、国が危機に陥ったときは、現金化しやすい金の売却はよく出てくる話。凍結されやすい米ドルと違い、金は売却しやすいですからね。特に、金価格が、1300ドルを超えている現在は、売りやすい時期。

ブルームバーグの記事では、ベネズエラのホセ・グエラ議員によるツイッターでの発言を記事にしています。ベネズエラ中銀保管の金20トンを搬出するために、ロシア発の飛行機が、カラカス空港に着陸。20トンの金は、現在の価格で約8億4千万ドル(約920億円)。ベネズエラの保有する金の約20%。国内外の金準備は、推定200トン。

一方、米国のボルトン大統領補佐官は、金・石油などを取引すべきではないと、呼びかけ。ベネズエラとの取引に応じるなとの警告を出しています。

保有する金を売却しても一時しのぎにしか過ぎません。しかし、放出する金をどこが買うのかは、覇権争いのなかで、気になります。

 

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