FRBの金融政策=ヘリコプタークレジットと米国の財政出動のおかげで、金価格上昇の土台が整いました。
新型コロナウイルスの影響は、未だに衰えず、小池都知事による不要不急の外出自粛など、東京封鎖に近い現象すら起きています。欧米の感染者&死者は膨大で、先が見えない不安に苛まれている方も多いでしょう。
しかし、米国の新型コロナウイルス対策は、並ではありません。FRBの無制限量的緩和=ヘリコプタークレジットと2兆ドルの大型経済対策のダブルアタックで、景気悪化を回避する構えです。短期的には、リーマン・ショック以上の経済ストップを起こしている以上、世界恐慌レベルの動きになっていることは言うまでもありません。問題は、夏以降、どの程度まで経済が回復するかが鍵。
新型コロナウイルスの影響で、FRBは、無制限の緩和=ヘリコプタークレジットを開始
FRBのパウエル議長は、2020年3月23日のFOMCで、無制限の資産購入を宣言。
●金スポットをはじめとした日足チャート GMOクリック証券 2020年3月24日
底値から反発。金や銀をはじめ株式も安値から上昇。
FOMCは、家計や企業の信用フローを支えるために米国債や住宅ローン担保証券(MBS)市場の逼迫を解消する追加対策を取る。FRBは市場が円滑に機能し、金融政策が幅広い金融情勢に効果的に反映されるように必要な分の米国債とMBSを購入し続ける。FOMC全文
パウエル議長は、米国債をはじめ、不動産担保証券類を大量に購入すると宣言して、市場の安定化につとめることを決定。
JPモルガン・チェースのマイケル・フェロリ氏によると、「連邦準備制度は、商業銀行に事実上シフトした」と言うレベル。
米財務省からは、4540億ドル(約50兆円)を、配分。パウエル議長いわく、この融資について、弾が尽きることはないと強気の姿勢。無限緩和の原資は十分ということでしょう。
ヘリコプター・クレジットのスタート。
FRBのバランスシートは、4兆7,000億ドルから9~10兆ドルに達するというアナリストもいるほど。この莫大な緩和は、ヘリコプターから現金をばらまくヘリコプター・マネーと似た金融政策としてヘリコプター・クレジットと指摘されています。
現在の二倍に、FRBのバランスシートを膨らませる可能性があるとは、なんと野放図な緩和が始まるのか。リーマン・ショック後のQEと似たようなことになるとすれば、下がりきった株式とゴールドは上がるしかありません。
ゴールドマン・サックスのジェフリー・カリー氏によると、今週の上昇は、FRBの金融政策によると。
同社は、最近の金価格調整の要因を、ドル需要の高まりによるリスク資産の換金売り、原油安に背中を押されたロシアの金売却などと説明している。
今週に入って上昇を再開したのはFRB金融政策によるものだという。金を買うべき時
リーマン・ショック時と同じように、一時的な金価格の売りが終われば、次に来るのは、緩和で溢れた資金の行き先。株にも流入すると思いますが、シェール企業をはじめとした危機やコロナショックのダメージが残っています。そうなると、金市場にマネーが流入します。ましてや各国の緩和合戦で通貨の価値が下がることになれば、相対的に金価格は上昇していきます。
米国は、財政面でも2兆ドルの経済対策を打ち出すことを決めました。これは、GDPの約10%に当たる巨大な金額です。新型コロナウイルスで都市封鎖を行い、失業者が溢れている中、何もしないわけには行きません。
2020年の3月26日(木)、米国の新規失業保険申請件数は、予想100万件に対して328.3万件と3倍以上も上を行くひどい結果でした。
しかし、これだけ、財政&金融緩和を行えば、市場にドルがあふれかえることになります。目先のドル不足が解消した後に、ドル安ゴールド高になるシナリオが目に見えるかのようです。ゴールドマン・サックスによる、今後12ヶ月の金価格目標は、1,800ドルです。
金スポットの月足チャート GMOクリック証券のCFD
2011年の1921.1ドルという過去最高値にチャレンジ。金価格は、どこまで上昇できるのか。今後の値動きが楽しみです。
FRBのバランスシート拡大に加えて、リスクはたくさんあります。
- 政府の財政赤字
- EUの持続可能性
- 中国経済の未来
- 観光・旅行ビジネス
2兆ドルの新型コロナ対策は21兆ドルある米GDPの1割に相当し、08年の金融危機後の経済対策(7000億ドル)を大きく上回る。家計支援として、大人1人に最大1200ドル、子供には500ドルを支給する。労働者は一時帰休や無給休暇などで手元資金が薄くなる可能性があり、4月をメドに現金を直接支給する。失業給付の拡大なども盛り込んだ。企業支援には8500億ドルを充てる。中小企業向けに3500億ドルを用意し、雇用を維持して従業員に給与を支払えば、返済を不要とする。事実上の連邦政府による給与補填制度で、中小企業が従業員を安易に解雇しないよう促す仕組みだ。日経新聞
航空会社大手のボーイング、シェール企業をはじめ、サウジアラビアの仕掛けた原油安の影響も大きいですからね。助けるために、何でもするという米国の経済政策は、バブルに向かうでしょう。危うさの残る株式より金相場の方が魅力的です。
おはようございます。Bruce Rpoert の今日のタイトルは「プラチナリースレート急騰」。PGMが急騰しています。当然売られ過ぎの反動ですが、南アがロックダウンになり実際の生産精錬に支障を来しているのも大きいです。プラチナのリースレート昨晩急騰、なんとパラジウムのそれを超えました。 pic.twitter.com/eoapcaFj6F
— Bruce Ikemizu (@BruceIkeGold) March 26, 2020
FRBが無制限QE、ECBと日銀は巨大緩和、米政府は巨大経済対策、世界はウイルスを口実にコソッとMMTを実施し始めました。世の中にお金と油がジャブジャブに流れています。壮絶なバブル来るけど出口はないでしょうね。
— エミン ユルマズ (JACK) (@yurumazu) March 23, 2020
FRBのバランスシート、初の5兆ドル台-新型コロナ対応で債券購入 https://t.co/kui8eUBNS5
— ブルームバーグニュース日本語版 (@BloombergJapan) March 27, 2020
ECBも実質的に無制限緩和https://t.co/Os2zsDKxC9
— 億投資家 マネーコーチ株式会社代表取締役 大谷正光 (@jikojitugen) March 26, 2020
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