通貨戦争や今すぐ金を買いなさいの著書がある投資家のジェームズ・リカーズ氏による「なぜ金なのか?」というレポート。
現在、上昇している金相場は、3回目のブル相場であり、まだまだ上がるという超強気の予想。何しろ、1オンスあたり2,000ドルどころか3,000ドル。そして。最終的に、14,000ドル以上になるという見通しを出しています。強気相場の根拠は、どこにあるのか見てみることにします。
前半は、金への無理解についての理由とニクソン大統領の金本位制停止のお話。後半で、金価格が上昇する理由を説明しています。そのため、後半のお話を中心にご紹介することにします。
金価格における3回の強気相場
ジェームズ・リカーズ氏いわく、過去に2回、強気相場は存在し、現在は3回目のブルマーケット。
- 1回目:1971-1980年 金価格は、2,200%の上昇
- 2回目:1999-2011年 金価格は、760%の上昇
- 3回目:2015年12月16日~ 65%以上の上昇
上記のチャートを見ると、リカー氏の主張する3回の強気相場が確認できます。そして、現在の強気相場は、過去の上げ幅・・・恐るべし2,200%&760%の上昇率に比べれば、小幅な変化!
それゆえ、まだまだ金価格は、上昇余地があるということですね。約1,050ドルから1,700ドルまで65%以上上昇し、オシレーター系には、加熱感が見られますので、少し下げる場面もありそうですが、長期的な予想として捉えておきましょう。
金価格が、2,000ドルを超えて上昇していく3つの理由
1.新型コロナウイルスによるパンデミックで、大量のマネーを供給したこと
パンデミックによる経済・株価維持のために、マネーを供給したことで、米ドルの信頼を失うとの意見。中央銀行が、信頼回復のために、金を基準点とした場合は、1オンスあたり1万ドル以上が必要。そうでなければ、中央銀行は、マネーサプライを削減しなければならず、デフレ政策となる。
2.強気相場の継続
過去2回の強気相場を参考にして、その金の上昇幅を単純計算すると、2025年までに、金相場は、1オンスあたり14,000ドル以上になる
3.新たな災害に対応するためのパニック買い
新型コロナウイルスによる第二波の感染。金ETFやCOMEX取引所の現物取引失敗。大統領選挙でのジョー・バイデン氏の勝利など
現状、金市場は、これらの結果を想定した価格設定はされておらず。金の上昇のためには、3つのうち一つだけでも良い。
これらの要素によって、オンスあたり2,000ドルどころか3,000ドル。それ以上に上昇させることになるとの予想。
さて、いかがでしょうか。ジェームズ・リカーズ氏の主張は、特に新しいものではありません。彼自身、数年前から金の1万ドル予想を出しています。また、量的緩和のやりすぎで、通貨の信頼がゆらぎつつあるのは、投資家ならば、ご存知の通りです。バブルも量的緩和もやりすぎれば、副作用が出てくるのは当たり前ですよね。
FRB・日銀・ECBと中央銀行にとって、最大の誤算は、新型コロナウイルスの蔓延によるパンデミック。経済が行き詰まりつつあったところに、疫病が襲いかかるのは、政権どころか国が倒れるきっかけになりかねず、金投資の需要が増えるのも当然だと思います。
ニクソン大統領の金本位制廃止
ニクソン大統領は、金本位制を廃止した時、永久的に廃止するつもりはなく、ドルを切り下げた後、新しい為替レートで金本位制に戻そうというもの。ケネス・ダム氏及びポール・ボルカー両氏に、ジェームズ・リカーズ氏は、確認していたとのこと。
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