EUのコロナ復興資金も決まり、金及び銀価格は、大きく上昇しました。株も上昇しており、コロナ後の本格的なバブル相場がスタート。
EUのコロナ復興資金が決まると、貴金属は、スポットも先物も上昇。
EUによる新型コロナ復興基金によるインパクトで貴金属が上昇
●貴金属や株価のCFD日足チャート GMOクリック証券 2020年7月22日
EUの復興基金は、7500億ユーロ。EUとしての債務残高は、540億ユーロ前後ということから、非常に思い切った金額での基金となります。米ドル覇権に挑戦するとの話も出てきており、米ドルの基軸通貨体制に一石を投じるきっかけになるかも。欧州崩壊路線から、欧州統合へと進めば、世界が安定する可能性もあります。
EU首脳会議は新型コロナウイルス危機による経済の打撃に対処するため、7500億ユーロ(8580億ドル)の復興基金設立と、7年間で1兆8000億ユーロの支出を盛り込んだ予算に合意した。8兆5000億ユーロ規模に上るユーロ圏の国債・機関債市場において、EUとして発行する債券はこれまでわずかな比率を占めるにすぎなかった。しかし今回決まった資金調達により、EUの債務はオランダなどの加盟国の水準を超える可能性がある。エコノミストは「EUが初めてソブリン債市場の主要勢力になる」と言う。ロイターEU復興基金
ユーゴ・ランチオーニ氏によると、欧州解体のリスクはなくなり、ユーロの長期的価値が高まったとのことで、ユーロは、財政統合をはじめとした統合の方向に向かい始めたとの見方。ユーロの大量発行によるユーロ安と、ユーロの信頼性向上によるユーロ高は、ユーロ高の方向へと進む予想がメインです。ユーロドルは、1.30ドルまで上がるとの予想も出ているほど。
米ドル/円及びユーロ相場の週足チャート。ユーロ/ドルは、トレンド転換しています。
しかし、高すぎるユーロは、貿易に悪影響。ゆえに、何らかのユーロ安材料が出てくるリスクもあります。
ユーロ圏の存続が危ぶまれたソブリン債務危機から10年近くユーロは低迷を続けてきたが、向こう数カ月、回復が続くとストラテジストは予想。1.30ドルに達する可能性もあるとの声が上がった。EU加盟国は今回の合意で共同での債券発行引き受けに初めて踏み込み、金融市場のドル覇権に挑戦状を突き付けた。今回の合意で「米国債やドルから資産を分散させたい外国人投資家が利用できる、ユーロ建てで質が高い大規模な債券プール」が新たに生まれることになり、ユーロは1.18ドルか「それ以上」に上昇する公算が大きいと、ストラテジストのバレンティン・マリノフ氏が述べた。ブルームバーグ
一方、欧州の資金供給により溢れ出したマネーは、株や貴金属市場に向かいます。金だけでなく割安だった銀やプラチナにも買いが入り、大きく上昇。新型コロナウイルスの影響が収まれば、市場に放出したマネーを吸収できるか心配です。
景気復興基金にも充てられる
金価格が、1800ドルを超えているのは、それだけ、通貨安に動いているということ。
そして、欧州委員会は、復興基金の30%を気候変動プロジェクトに向けるということで、貴金属の需要も高まる可能性があります。金だけでなく、銀やプラチナ・パラジウムにもプラス要素が増えました。
◆あふれるマネー
マネーを切り口に市場を整理しました
・中銀供給に加え、政府の経済対策で融資も伸び、民間のマネーは未曽有の膨張
・株のほかクレジットや原油にも向かい”全部高”
・安全資産の金も最高値接近 21日は銀も急上昇
・実体経済と乖離 反動リスクも
▽日経記事https://t.co/XL1UHl8KsR pic.twitter.com/E4SqxETspw— 後藤達也(日経の記者) (@goto_nikkei) July 21, 2020
ユーロ、EU合意で「信頼できる」安全資産に-1.30ドルに上昇の声も https://t.co/3zfz7uDuIm
— ブルームバーグニュース日本語版 (@BloombergJapan) July 22, 2020
EU指導部、復興基金の妥協案提示 補助金3900億ユーロに縮小 https://t.co/2DSv7KCjIl
— ロイター (@ReutersJapan) July 20, 2020
新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)で大打撃を受けた国への補助金を3900億ユーロとした。主にイタリアとスペインが受け取るとみられる。一方、低利の融資は3600億ユーロとすることでまとまった。BBC:EU復興基金
補助金を受け取ることになるイタリアとスペイン。これに対するドイツの反発を今回は、抑えられるのでしょうか。いずれ、このツケを払う時が来るのではと思ってしまいます。ここまで、金価格が上昇しているのは、コロナ危機に対するリスクではありません。コロナ危機で、安全資産の金が買われているのではなく、金利上昇を押さえつけている中央銀行の力のせいです。そして、どんどん薄まる通貨に対する警鐘と考えるべきでしょう。
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