先進国の金利がほとんどゼロとなり、MP3=金融政策と財政政策の協調のもとで、どのように、資産を管理すれば良いのかをブリッジウォーターが研究してくれています。中央銀行の採用するリフレ政策のもと、金とインフレ連動債の活用。地理的分散の強化など興味深い内容がありますので、中長期的な投資を心がけている方に役立つと思います。
目次
MP3(金融政策と財政政策の協調)の世界における資産管理方法
ブリッジウォーターの研究チームが公表してくれた論文を簡単にまとめてみました。
最近、ブリッジウォーターの研究チームは、課題と潜在的な解決策を概説した 3 部構成の論文を発表し、投資家が直面している一般的な質問のいくつかを探った。Co-CIO のボブ・プリンスとグレッグ・ジェンセンとインベストメント・アソシエイトのメリッサ・サフィアーによる論文を読むか、またはポッドキャストでボブとグレッグがブリッジウォーターのシニア・ポートフォリオ・ストラテジストのジム・ハスケルとこれらのテーマについて議論しているのを聞く。
元の内容はこちらです。
ブリッジウォーターの研究チーム:ゼロ金利の世界
●ゼロ金利は、金利がないことを意味し、ゼロのままであれば、金利に変化がないことを意味する。債券利回りが、低いだけでなく、イールドカーブがフラットになって初めての低水準。
●利回りが下がる余地は限られており、上昇幅には制限がないため、債券の金利のリターン分布は、不利な状態。
金利が、ゼロ金利になり、下がる余地はほとんどありません。マイナス金利については、深堀りしていくにも限界があります。それに対して、上方向には、限界がありません。金利上昇=債券価格低下トレンドはどこまでも進むことができます。
●現地通貨建て国債の時価総額、約8割が利回り1%未満。
●景気後退時は、中央銀行が介入して、金融緩和を行うことで、弱気相場の底入れとなる。以前の景気後退時、FRBは、平均500bpsの金利引下げで景気回復を促した。
●名目利回りがゼロとなったため、デフレは、経済が縮小するにつれて、実質利回りを押し上げる。もし、リフレ政策が成功した場合、中央銀行は、インフレに対する名目利回りの上昇を遅らせて、実質利回りの低下につながる可能性が高い。
つまり、リフレが成功すれば、実質利回りは低下。逆に、デフレになれば、実質利回りは上昇する。
●ゼロ金利のもと、債券では、リターンもリスク軽減も得られない。
●政策立案者は、景気後退に対して、利下げでなく、MP3(金融政策と財政政策の協調)を行う。
●長期的に現金を上回る資産を選択する。
MP3(金融政策と財政政策の協調)の世界
●政府及び中銀は、資金を経済に投入して、景気後退に対応。株式のリフレに成功しなかった場合、お金は、インフレ連動債やゴールドなどのインフレヘッジ資産に流れると予想できる。
●地理的分散の強化
MP3(金融政策と財政政策の協調)で生じること。
ゼロ金利、財政赤字のもととなるマネー供給、高水準の負債を考慮し、望ましくない場合、インフレ率の上昇を容認するという要素は、今後も続く可能性が高い。
●景気刺激は、スタグフレーションになる可能性もある。スタグフレーション下では、株式はアンダーパフォームになる傾向があり、インフレ連動債や金などのインフレヘッジ資産は、アウトパフォームになる傾向がある。
●金は、紙幣の価値が低下している時に、価値が上昇する傾向がある富の禁制通貨であり、貯蔵品。=金融インフレ。金は供給が制限され、印刷することができないため、常にこの役割を果たしてきた。
●大恐慌・金融危機時、金価格は、ほとんどの通貨に対して、良好なパフォーマンスだった。
地理的分散の強化
●米国・欧州・中国は、現時点で同等の重要性を有している
●中国の債券は、先進国の債券利回りがゼロに下落している中、中国債へのシフトが進んでいる
●グローバリゼーションのトレンドが逆転する可能性
●ある10年ではアウトパフォームした株式市場が、次の10年ではアンダーパフォームすることが多い。1980年代には、米国がワーストパフォーマーの一角を占め、1990年代には米国がトップパフォーマーとなり、2000年代は、米国がアンダーパフォーマーとなり、2010年代には、米国がトップとなった。
●MP3の世界では、金やインフレ連動債による資産バランスの改善とともに、グローバルな分散投資のメリットを最大に活用することが良い方法。
●株式と債券は、インフレ環境下ではパフォーマンスが悪くなる。インフレ下落時に、リターンが大きく、インフレが上昇している時には、ゼロに近いリターンとなる。
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