採掘可能な金の総量は、ワールド・ゴールド・カウンシルの推計で、約197,576トン。オリンピックの公式用プールに例えると約4杯分。といっても良くわかりませんね。もう少し簡単なたとえを探してみます。
採掘された金の総量とたとえ
1トンは人間の体重で言えば、約17人分です。1000Kg ÷ 60Kg = 16.666人ですからね。ということから、約1万1000人の人間と同じ重さということ。
別のたとえだと、原油を運ぶVLCCタンカーは、20~30万トン級【VLCC(Very Large Crude Carrier)】。超大型の原油タンカー一隻分くらいが、過去に採掘した金の総量ということになります。
金の地上在庫量
そして、金は、燃えたり破壊されたりしないため、過去に採掘した金は、すべて地球上のどこかにあることになります。王族の衣装やアクセサリー、金塊や金貨・工業製品と様々な形で存在しています。
ということで、地上在庫の合計もまた、197,576トンということになります。
地上在庫の行方(2019年末):197,576トン
では、金の地上在庫は、どのような形で保管されているのでしょうか。
- 宝飾品:92,947トン、47.0%
- 民間投資:42,619トン、21.6%
- 公的金保有:33,919トン、17.2%
- その他:28,090トン、14.2%
- 地下埋蔵量:54,000トン
出典:Metals Focus; GFMS、トムソンロイター、米国地質調査所、ワールドゴールドカウンシル
最も量が多いのは。宝飾品で約9.2万トン。民間や公的な金保有量は、あわせて約7.5万トン。
そして、入手可能な金の埋蔵量は、残りわずかに5万4千トンしかありません。この採掘できる埋蔵量の少なさが、金価格の上昇を支えているといえるでしょう。
ゴールドマン・サックスの推計では、後20年ほどで、金の地下埋蔵量を掘り尽くしてしまう計算。
毎年、金採掘などで、地上の金の在庫全体に約2,500〜3,000トンが供給されています。3,000トン✕20年で6万トンですからね。単純に計算しても無くなりそうです。
金価格は、上昇しているものの、農産物のように、種をまけば金塊が実るというわけにはいきません。地下から掘り出すしかなく、地表に近い、掘りやすい金鉱山は、掘り尽くしてしまいました。そのため、価格が上昇しても一気に増産というわけに行きません。
地下埋蔵量が増える可能性
ワールド・ゴールド・カウンシルは、金の埋蔵量は、下記の要因で変化するとしています。
金の 価格
採掘投入のコスト(金鉱床が採掘に経済的かどうかに影響します)
鉱山の探鉱と新しい発見
以前の地質調査の範囲と機能
鉱業会社は 、運営する各鉱業プロジェクトに残っている金の量を見積もります 。これらは2つのカテゴリーに分けることができます:埋蔵量(一般的な金価格で採掘するのに経済的な金)。および資源(採掘に経済的である可能性があり、さらなる調査の対象となるか、異なる価格レベルである金)。
シベリア・南極・海底などの、これまで調査の手が及ばなかったところから、新たな金山が発見される可能性はあります。しかし、そういったところにある金を採掘するのは、困難であり、かなり、金価格が上昇しないと採算に合わないでしょう。そのため、原油でシェール革命が起きたように、金の埋蔵量が一気に上昇するような事態は望み薄だと思います。
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