ウクライナ情勢の悪化から、金価格が上昇する動きが続いています。ただし、戦争=有事の金で買いという動きがいつも通用するわけではありません。
金の専門家である豊島逸夫氏が言う通り、有事の金は、実際に事が起きるまで。日本の戦国時代のように戦乱の時代であっても、実際に両軍が激突する戦時代は、短いもの。関ヶ原の戦いも桶狭間の戦いも戦闘自体は短いものでした。ならば、戦争前こそが、リスクの最も高い状態だというのは理解できますよね。
戦争前は、ハイリスクゆえに金は買われる
今回のウクライナ問題も、戦争が起きる前は、結果がどうなるか誰にもわかりません。最悪のシナリオは、ウクライナを守るために、NATOとロシアが衝突すること。そして、NATO側に米国。ロシア側に中国がついて、全面戦争を繰り広げること。こうなれば、戦争当時国や敗北側の通貨の価値は下落しますから、リスク回避のために、金価格が上昇していきます。
●NY金価格チャート:CFD 2022年2月22日
2022年1月が、ウクライナ侵攻のレッドラインかと思われていました。何とか、決定的な衝突は回避しています。その分、有事が長引き、NY金価格は上昇。東京金価格は、久しぶりの高値に沸きました。
日本円での金価格がgあたり7042円を先程付けて、2020年8月6日の史上最高値7039円を更新しています pic.twitter.com/icZ0AzCVmH
— Gold.BullionVault.jp (@BullionVaultjp) February 20, 2022
しかし、実際には、ここまで最悪のことが起きる確率は低い。それは、もし、戦争が起きればはっきりします。それゆえに、有事の金で「開戦」となれば、ゴールドは、下落しやすいのです。
プロ目線では、有事の金は「売り」なのだ。
例えば、イラク戦争勃発後、金価格は急落した。イラク開戦の「噂」で金を買い増していた金投機筋が、一斉に利益確定の売りを入れたのだ。あおられ踊らされた個人投資家は、はしごを外され、高値づかみする羽目になった。「噂で買ってニュースで売れ」豊島逸夫氏の意見
イラク戦争時も、イラクが善戦することや石油の供給がストップするなどというシナリオが浮上して、金価格は上昇。しかし、開戦と同時に利食いが殺到して、金価格は下落。
金投資は、有事ではなく平時こそが買い時
そのため、予兆で金を買い、実際に報道があれば、売るという方針が良い。ここは、藤巻健史御大の言う「頭としっぽはくれてやれ」でいいと思います。
豊島逸夫氏の意見と同じことをおたからやも主張しているように、これは、金投資全体のセオリーです。
大きな利益を得るためには、何か大きな出来事が起きる予兆で金の購入を積極的に行い、逆にニュースが報道されたら売りはじめる投資方針が良いでしょう。
湾岸戦争のようなある程度予測できる出来事に関しては、事前に金の買い集めに動いておくと相場が動き出した時に莫大な利益を得られます。いつでも対応が出来るように、日頃から世界中に影響を与えそうなニュースに関しては注目しておきましょう。おたからや
過去、戦争時のチャート。
ほとんどのケースで戦争が起きる前まで売られ、そこは押し目買い場だった。
戻しあと下げたのはアフガン戦争のときのみで、この下げはITバブルの崩壊によるもの。 https://t.co/2Mid0WAogt pic.twitter.com/EQtUvIppFu
— TMCM🌐 (@TMcapital1001) February 21, 2022
戦争が起きると売られ、そこが株の押し目買いになるケースもあります。ゴールドは売り、株は買いがセオリーとなることも。
情報が錯綜するウクライナ情勢ですが、個人的には以下の指標等で温度感を把握しています。
✅天然ガス(原油価格)
激化懸念で上昇。緊迫化で下落も。✅ロシア株
戦争可能性が高まると下落✅金価格(米国債利回り)
緊張高まると安全資産で買われる(国債利回りは低下)✅欧州株
激化懸念で下落 pic.twitter.com/dclGjlGDUr— カブパカ🔰@兼業子育てリーマン (@kabupaka) February 21, 2022
金価格上昇予想、大当たり。7,500円突破。誘因は、ウクライナ情勢の急速な悪化による戦争忌諱。存在量が決まっているため、日本円や株式よりも信頼がある。(但し、実際戦争が始まった場合は、“有事下の金買いは、悪魔の選択”) https://t.co/cTCt7lEwb7
— yuurika (@yuurika) February 14, 2022
かなり昔の話になるが、多少金の現物を持っていた時に湾岸戦争が始まって金価格急落、パニック売りして後悔した記憶があります。
きな臭い嫌なニュースが杞憂に終わることを切に願っていますが、金価格上昇狙いは一旦見直してみてはいかがでしょうか。
— 杉 祐也人 (@sugi_yuyajin) February 17, 2022
今回のウクライナ紛争は、かなり長くなる可能性があり、緊張状態が長引くリスクには注意したいと思います。
国際紛争は世界経済に多大な影響を及ぼさない地域紛争との位置づけとなり、金価格の反応(上昇)は短期的かつ限定的なものにとどまってきた。亀井幸一郎氏
プーチン大統領の狙いは、中国の香港統一やかつてのプラハの春型の強い軍事活動を伴わない占拠ではないでしょうか。できるだけ、直接戦争を避けて、軍事力の圧力や外交で欧米をなだめながら、既成事実を一つずつ積み上げていく。レッドラインをじりじりと押し下げていき、決定的な衝突には至らないというのは、上手い戦略だと思います。
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