上昇トレンドにある金相場ですが、目標値を予想するのは、なかなか難しい。Dumb Wealthの意見をご紹介します。
金は、キャッシュフローを生まないため、金の適切な価格を決めることは難しい。そのため、M2マネーサプライを参考にして、金の目標価格を判断してみた結果です。
1オンスの金が持つ本当の価値はいくら
金は、持っているだけでは、増えない資産。その点、株や預金とは質が違います。では、金には、価値がないかというと、高値で取引されていることから、高価なものであることが判断できます。他の商品と同じように、需要と供給から価格が決まるべきなのでしょうか。
その点、金の代替商品となりえるのが、10年物の米国債。実質金利の動向次第で、金価格は上下します。金価格と5年物のインフレ連動債との関係はこちらをご連絡ください。
金価格とマネタリーベース(M2)の対比
そこで、金価格を評価する方法として、マネタリーベース(M2)の金額との比較を利用したのが、本記事の骨子
アメリカの米連邦準備銀行は以前、M1,M2,M3の3つの統計を公開していたが、2005年11月10日に2006年3月23日分からM3の公表を中止すると発表した。したがって、2006年春より連邦準備銀行はM1, M2の2つの統計だけを公開している。
M1は、一般に支払いのために使われる通貨からなり、現金と当座預金からなる。M2は、M1に流動性の高い預金口座(普通預金および小額の定期預金)を足したものである。これらの預金は、元本を損失することが全くか、ほとんど無しにM1に交換できるものである。アメリカ:マネーサプライ
金本位制の元では、通貨の供給量は、金と釣り合っています。金本位制がなくなった現在でも、通貨供給量と金には、何らかの関係があると考えてもおかしくありません。
例えば、金の価格が1オンス1000ドルで、貨幣供給量が10兆ドルだった場合、その比率は0.1となります。
この比率は2001年9月3日に0.052という歴史的な低水準に達しました。これが金の世俗的な強気の始まりとなり、2011年9月5日に0.19のレシオで終了しました。その後、レシオは低下し、過去5年間は0.10を下回る水準で推移しています。このことは、2015年以降の金価格の上昇は、それに相当するマネーサプライの増加に支えられていることを示唆しています。2020年6月15日現在、金価格とM2の比率は0.09となっています。3465Gold
ここで、問題なのは、金価格とM2の比率で最適な数字は、どれくらいなのだろうということ。
3,465ドルが適正な金価格か
2008年の金融危機後の金融政策は、金価格を2011年に、1900ドルまで上昇させました。金価格のM2比率が、2011年の水準に戻るならば、金価格は、1オンスあたり3,465ドルになることに!
比率が、0.19になれば、3,465ドルまで上昇するということですね。0.14まで上昇すれば、2,566ドル。1980年のバブル期は、0.40でしたから、そこから計算した金価格は、7,332ドル。
この金価格と通貨供給量の比率から、いかに、通貨供給量が増えているかがわかりますね。いくら金を掘り出しても、デジタル・紙で印刷するマネーの増える量が多くなるのは当然。それゆえに、比率は、ゆっくりと下がっていくのが通常のシナリオでしょう。
しかし、下記のチャートで、通貨供給量M2を見ても、コロナによる増え方が凄まじいことがわかりますよね。これだけ、供給すれば、金も株も上がります。
このツケをいつか支払うときが来ないことを祈るとともに、金をポートフォリオに加えておくことで、もしもに備えましょう。
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