2013年の金相場は、米FRBの量的緩和縮小(QE3)を先取りし各市場に先駆けて4月から下落を始めました。
最終的にFRBは年末12月のFOMCで100億ドルの減額開始。では、2014年の動きはどうなるのでしょうか?
2014年の金相場予想
クリスマス前後から次年度の予想や展望がたくさん出てきます。専門家達を含めて金市場の行方は。
NYと東京の金価格週足チャート(2011年8月~2013年12月19日)
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12月21日10月限:4031円(東京金)、12月21日2月限:1203.70ドル(NY金)
1.FRBの量的緩和縮小について
イエレン副議長が14年2月にFRB議長に就任するも、現在の金融政策は大きく変わらない。
FRBの二つの責務、「物価の安定と雇用の最大化」をまとめあげた人物であり、過去のFRBにおいてバーナンキ議長の片腕として活躍してきた。
今後もFOMCごとに50~150億ドル程度のペースで縮小し2014年末から2015年初めに資産買入れを終わらせる可能性が高い。
経済指標の数字を見ながら利上げを行うことになるが急いで利上げを行う可能性は少ない。
その分、リスクとして株式市場および住宅市場のバブル化が懸念される。
緩和縮小のペースが鈍ると金価格は上昇要因、利上げは利息のつかない金に不利な条件となるため下落方向。
2.中国やインドなどの現物需要
欧米の投資マネーは、金相場から流出し金ETFの残高は大きく落ち込んだ。
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一方、中国(金需要)やインドなどの現物需要は大きく伸びており、インドに至っては経常赤字の拡大から金への関税を強化して輸入を抑える政策を導入。
インド準備銀行(中央銀行)は12月2日に2013年7~9月期の経常収支を公表。52億ドル(約5300億円)の赤字。赤字額は前年同期の210億ドルから大きく減少。輸入関税引き上げなど政府の経常赤字削減策が功を奏した。
インドは経常赤字・通貨安・株安などの問題に見舞われている。
中国は年間の金需要が1000トンを超える可能性もあり、インドを抜いて首位となることが予想されている。2012年の需要は、インド:864トン、中国:817トン
中国も同じくシャドーバンキングや地方政府債務、大気汚染など多くの問題を抱えている。
しかし、それゆえに安全な資産を欲しがる傾向が強く、ビットコインの暴騰と暴落に中国人の買いと当局の規制が影響したことからも伺える。
もし、購買意欲を失う程の経済ショックが生じれば需要減が予想されるが、そうでない限りは信頼できる資産として2014年も中国の購入は伸びて金価格の下支えになるだろう。
3.ドル/円相場の展望
日本国内の金価格は、大きく為替市場に影響されるためドル/円相場の展望は重要。
2014年のドル/円は105円~120円の円安に動く可能性が高いと見られている。
- 米国の量的緩和縮小によるドル高
- 米国の経済成長率の高まり
- 日本の追加緩和および量的緩和継続
- 先進国の景気回復によるユーロ高
- 金利上昇スピードの遅れ
リスクオンとオフの動き
欧州の経済危機が一段落し世界経済の景気回復度合いが高まったことで全体的にリスクオンの流れが続いている。
逆にリスクオフの動きもあちこちに芽吹いていることも忘れてはいけない。
- 中国の不良債権問題
- 日中の尖閣諸島など領土問題
- 北朝鮮の暴発
- イランの核開発を巡る問題
- 中東の政治問題
- イスラム教文化とキリスト教文化の対立
- 欧州のドイツ独り勝ちへの警戒と問題
- 世界的な格差拡大に対する反発
専門家の金価格予想
2013年後半の専門家が行った予測
亀井幸一郎氏:FRBの政策転換において波乱やバブルお可能性は否めない。14年は1トロイオンス1200~1350ドルを中心とした動き
豊島逸夫氏:14年は足場固めの時期。先進国は金売りを加速させるが安値では新興国が買いに回る。1200ドル台をコアレンジ、1100ドル~1450ドルのレンジ。1100ドル台に値下がりすれば長期保有を前提にした新興国の買いが増える。
東京五輪が開催される2020年までに金価格は2000ドルの可能性もある。円建て価格は1ドル120円まで進めば7700円まで上昇しても不思議ではなく日本人は金市場において非常に有利な立場にある。
ゴールドマンサックスのジェフリー・カリー氏:米FRBの量的緩和縮小で1トロイオンス1050ドルを予想。バスケットボールのスラムダンクのような売りを予想