リアルタイムの金価格や予想・金投資のノウハウを紹介します。世界で人気の純金積立や投資信託の方法。さらに、今後の見通しを徹底的に解説いたします。

  1. 貴金属の基本ルール
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金(ゴールド)の必要性とは?

金(ゴールド)は、金融・貨幣が発達した現代社会でも必要なのでしょうか。現金決済から電子マネーに変化しつつある中、金でモノを買うのは現実的ではありませんよね。それでも、世界中で、金投資が行われているのはなぜなのでしょうか?

今回はそんな疑問について考えていきます。

金(ゴールド)は、本当に必要なの?

グローバル化とコンピューターの進化で、現金を持つことが減り、電子マネーやコンピューターでお金を管理する現代。お金の増減は、銀行や証券口座で考えるのが当たり前。では、金の持つ意味とは何でしょうか?

財産の保全としての必要性

金(ゴールド)は、古代から財宝・貴金属として利用されてきました。そして、その価値を失ったことはありません。

昔、貝や石がその役目を果たしたことがありました。残念ながら、それらの資産価値はなくなってしまいましたね。

株や債券は、発行している会社や機関が破綻すれば、価値がゼロになります。そして、古代から多くの国家が破綻してきました。日本も江戸の徳川幕府~明治新政府~太平洋戦争での新政府誕生と、その過程において、多くの債券や証文の価値がなくなった歴史を持ちます。

中国は、漢帝国からみても三国時代・隋・唐・宋・元・明・清と多くの王朝が興り・滅びていきました。そうなると、政府発行のお金への信頼感が薄いのもわかりますよね。

同じ貴金属として、重宝されてきた銀は、メキシコ銀や石見銀山など、世界各地で新発見された銀山が需給バランスを崩したため、昔に比べて大きく価値を落としてしまいました。

それに対して、金は、各地でゴールドラッシュが起きたとはいえ、世界経済の規模拡大に伴い、自然な形で生産量が増えてきたといえるでしょう。むしろ、世界経済の拡大に必要な金の生産量が足りないことの方が多かったほど。金をお金にする金本位制の場合、デフレリスクを抱えていました。その分、金の必要性・希少性は保たれていたのです。金の生産量

装飾品や工業品としての必要性

金は、古代から王者の象徴。太陽の象徴として装飾品に利用されてきました。皆様も金の美しさに魅了されたことがあると思います。そのため、古代から支配者・宗教の象徴として必要だと認められています。

さらに、近代では、電気抵抗の小ささ・加工のしやすさ・サビに強いなどの特性をいかし、工業製品として利用されています。パソコン・スマートフォンの電子部品を作るには、金の部品が必要なのです。

戦争や経済危機のリスクヘッジ

戦争やテロで、街が破壊されると、生産が滞りますね。政治・経済も混乱し、金融システム・企業の経済活動も止まることで、政府・企業の信用も下がり、お金が価値を失います。こうなると、世界共通通貨である金(ゴールド)の出番。戦争やテロの被害に強い安全資産として必要とされる資産です。

そのため、戦争の規模が拡大していけば、世界経済全体の不透明感が高くなることから金価格は上昇します。

現代も、ソ連のアフガニスタン侵攻や湾岸戦争・アメリカ同時多発テロなど、戦争の規模が大きいほど、金価格の上昇幅も大きかったことから、有事における金投資の必要性が生きていることがわかります。ただし、政治・経済的に小さい国での紛争・テロでは、国際的な金価格の反応は小さめ。

そして、世界同時株安・リーマンショックなどの経済危機時も同じ。株売り・リスク資産売りの動きから、安全資産としての金が買われやすくなります。

世界は、米国と中国の覇権争い、イスラム教と西洋社会の対立。中央銀行と政府の信用問題・資本主義による格差問題など多くの社会的不安を抱えています。しかも、先進国の金利は低金利が続いたまま。そのため、戦争や経済危機へのリスクヘッジとして、金の必要性は大きいと思います。

ドル建て資産へのリスクヘッジ

金は、通貨としての側面を持ちます。

今の基軸通貨として圧倒的な力を持つのは米ドルであることは、ご存知の通り。ところが、経済的な面では、米国は、中国に追い上げられており、米ドルによる世界貿易体制を維持していく力はありません。そのため、トランプ大統領が登場して、米国ファーストを打ち出しているのです。

米国が抱える対中貿易赤字を減らすために、最も現実的なのが、ドル安誘導。

ニクソンショックの場合、1トロイオンス=35ドルと決められていた金価格の元で、金本位制が実行されていました。しかし、ベトナム戦争やオイルショックのため、経済が苦しくなった米国は、金ドル本位制を放棄。金価格上昇ドル安の元になりました。

現在も、米国は、経済成長を維持する一方で、貿易赤字・財政赤字を抱えています。そのため、ドルの信用が弱まるものの、ユーロや人民元もまた信頼性・公共性に欠けます。そのため、新興国の中央銀行は、金の保有量(外貨準備)を増やしています。

英ポンド⇒米ドルへと基軸通貨が変わったように、米ドルから人民元への移行は、米国本土が戦争に巻き込まれるようなことがない限り起きないでしょう。つまり、国や機関・企業に属しない金の必要性は変わらずあるということ。

資産運用&投資として、おすすめの金投資方法はこちらをお読みください。

国家や中央銀行の破綻リスク

そう、簡単に、国家や中央銀行は破綻しないと考える方はほとんどだと思います。

確かに、政府は、簡単に破綻しません。しかし、政府が発行するお金や債券の価値が弱まることはしばしば。

いまの日本政府もマイナス金利によって、実質的なお金の価値を減らしています。インフレ率が0から2%と低くても、マイナス金利を中央銀行に強いることで、実質金利を高めてインフレに誘導しているということ。そのため、お金の価値は低下し、銀行預金の金利では全く補完できません。

しかも、中央銀行による量的緩和の継続は、副作用で、日本円の価値を失うハイパーインフレが起きるリスクを抱えています。どちらにせよ、日本円と日銀の信頼・信用は弱まっており、黒田日銀総裁が何を言おうと、金融市場は、鼻で笑うという危険なムード。

  • インフレが起きれば、モノとしての金価格は上昇しやすい。
  • デフレが起きれば、通貨としての金価格は上昇しやすい。

つまり、インフレ&デフレの双方に強い金。

では、金価格が下がるトレードオフは、何かというと既存のおカネを発行する団体への信頼。中央銀行・政府への信頼が弱まれば弱まるほど、どちらにも属さない金への信頼・必要性は高まるといえます。

金地金

国家及び政治家は、紙幣を大量にする誘惑に駆られます。その方が、公共投資・バラマキ政策を実行して、国民の人気取りができますし、利権を確保しやすいから。そのため、金本位制という枠組みで、保有している金以上におカネを発行してはならないというルールを設けました。

ところが、急拡大する経済規模に対して、希少な金では対応しきれず、金本位制をやめました。

次に、考えたシステムは、中央銀行の独立性。政府や政治家から独立した存在である専門家集団として中央銀行を設立し、専門家の視点からの金融政策を運営させるようにしたのです。しかし、これもまた、安倍政権によるアベノミクス・トランプ政権のパウエルFRB議長への干渉を見てわかるとおり、絵に描いた餅。

経済や株価が、落ち込むたびに、政府が中央銀行に干渉すれば、目先の危機は回避されます。しかし、先延ばしにすることで、市場や金融機関にはモラル・ハザードが生じ、中央銀行の抱える債務は増加するというデメリットが生じるのです。そのため、中央銀行ですら支えきれない経済危機が起きるリスクは拡大していき、いつか巨大な破綻が起きる可能性が高まります。バブルの泡は小さいうちに潰さないと「大きすぎて潰せない」ということになりかねません。

その潜在的なリスクへの危機感から、金(ゴールド)は、政府・中央銀行・民間とどの分野でも必要とされているのです。

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